「電車に乗る時も飲食店などに行く時も、ずっとノーマスクです。肌感覚ですが、一時期と比べると、『マスク警察』も減っているように感じます。今のマスク着用は感染防止効果よりも、人目対策やクレーム対策など本来の目的とは離れたものになっている」
こう語るのは、2020年9月にピーチ航空でマスク着用を拒否して降ろされた通称「マスク拒否おじさん」だ。その後も、同年11月には長野県内のホテルで、2021年4月には千葉県内の飲食店でもマスク着用を巡るトラブルが報じられた。
ピーチ航空の件では、威力業務妨害などの容疑で逮捕、起訴され、勤めていた私立大学も解雇された。
「5月中旬に大阪地裁で刑事裁判の初公判が開かれますので、現在は、その裁判の準備を進めています。また、大学に対しては、不当解雇であるとして地位保全を求める労働審判を並行して行なうことを予定しています」
そう話す彼は現在、奥野淳也と本名を明かし、講演活動やSNSでの発信に精を出している。
当時はマスク着用を強制されて激怒したとされているが、今もその姿勢に変わりはないのか。
「(言われたら)まず『お願いなのか、強制なのか』を問います。政府も着用を推奨はしていても、法律で義務化するには至っていません。『みんながしている』からといって、一律に着用を強要するのはおかしいと思います」
今年に入り、海外ではマスク着用の義務を解除する国も出始める中、国内では本格的な議論は進んでいない。奥野氏のSNSには変わらず批判が相次ぐというが、発信は続けると話す。
「これだけ多様性や個性が叫ばれる時代になっても、こと感染対策に関しては、『マスク着用の徹底』が唱えられ、少しでも感染対策規範から外れる人がいると、寄って集って叩かれます。マスク着用もワクチン接種も、個人が自ら判断することが尊重される社会になっていけばいい。そう思って発信しています」
これからも賛否の嵐を巻き起こしそうだ。
※週刊ポスト2022年5月6・13日号