《サプリで腹いっぱいになっちゃうくらい(のんでいた)。健康になりたくて。そしたらもう、肝臓ボロボロ……》
昨年11月11日に放送された『櫻井・有吉THE夜会 2時間スペシャル』(TBS系)で、お笑いタレントの劇団ひとり(45才)が自身の体験を明かした。毎食後に50錠近いサプリメントを摂取していたところ、肝臓を壊し、1か月も入院する羽目になったという。
「サプリで腹いっぱいになっちゃうくらい」が明らかに用法・用量を無視していることは誰の目にも明らかだが、サプリメントは本来、体に必要な栄養素を摂取するもの。それが健康を害するとは、どういうことか。
そもそも、日本人はサプリメント好きだ。2019年の厚生労働省の調査によれば、日本人のサプリメント利用率は女性28.3%、男性21.7%にものぼる。特に、50代の女性のサプリメント利用率は37.6%と、全世代で突出して多い。
2020年のマイボイスコムのアンケート調査によれば、サプリメントをのんでいる人の目的は、回答者が多い順に「健康維持」が利用者の69.1%。それに「免疫力・抵抗力向上」が25.1%、「目の健康の維持・改善」が17.7%と続く。
しかし、利用者のうち、効果を実感している人は半数以下の46.1%。サプリメントをのんでいる人の半分以上が、その効果を感じられていないというのだ。薬剤師の福井セリナさんが言う。
「魚の油に含まれるDHAとEPAは、記憶力を高める効果があるとされる成分です。ところが、過剰摂取は体に悪影響を与える。ある学生が試験の前にこれらのサプリを大量にのんだところ、私の目の前でひどい動悸や倦怠感に襲われ、そのまま病院に向かうことになりました」
形成外科医の北條元治さんは、「サプリメントは薬ではなく食品。粗悪品でないものを常識の範囲で服用すれば害は起こらない」と話す。問題は、サプリメントを過信しすぎることにある。
「サプリメントを狂信して体に不調をきたすほどのみ、その不調をまたサプリメントでなんとかしようと大量にのみ……と、常軌を逸したのみ方をすれば、体に甚大な影響を及ぼすことは否定できません」(北條さん)