中国の民主化運動指導者でノーベル平和賞を受賞したものの、中国当局に軟禁され、がん治療中の2017年に死亡した劉暁波氏のブロンズ像が、香港から撤去され、台湾に移されることが明らかになった。香港メディアなどが報じた。
香港では2017年に劉氏が亡くなった際、民主化運動支援団体を中心とした人々が資金を集め、劉暁波氏が椅子に座るブロンズ像を鋳造し、中国の民主化実現のために一生を捧げた劉氏に敬意を表した。
ブロンズ像は当初、香港中心部の繁華街である銅鑼湾の複合ビル「タイムズスクエア」前に置かれていた。しかし、香港政府の圧力が強まり、中国の民主化推進団体である「中国愛国民主運動支援香港連盟」が昨年、解散に追い込まれたことで、ブロンズ像の撤去を余儀なくされた。その後、ブロンズ像は倉庫に入ったままになっている。
これに知った台湾の民主化団体「中国民主協会」が今年6月4日の天安門事件33周年記念として、ブロンズ像を引き取って、台湾での民主化促進の講演会などで展示する意向を示した。同協会はその後、中国の民主化推進のための博物館を建設し、劉氏のブロンズ像も博物館に常設展示される予定だ。
同協会の曾建元会長は「劉暁波氏のブロンズ像を展示することで、中国大陸でも、このような思想家や人権活動家がこれからも生まれ得ることをより多くの台湾の人々に知ってもらいたい。また、台湾の人々がこのことを認識し、中国の人権の発展をさらに願い、行動を起こすことを望んでいます」などと語っている。
このような曾氏の発言について、香港ではネット上で「今年、香港大学に置かれていた天安門事件を描いた『恥柱』という彫刻が撤去され、さらに、劉暁波氏のブロンズ像が台湾に渡るなど、香港では民主化をテーマにした彫刻さえ、人間と同じように弾圧されてしまうのか」などと当局の民主化抑圧姿勢を皮肉るコメントが見られている。