老親や家族に「がんをどう伝えるか」は、がん患者の誰もが悩むところ。いざ、家族に伝える際にはどうすればいいのか。
「早く伝える」ことで気が楽になることもあるようだ。コロナ禍の2020年に腎臓がんを告知されたフリーアナウンサーの露木茂(81)が言う。
「医師からがんを告知された時、ステージは不明でしたが、すぐに手術することを決断しました。医師の方の告知は驚くほどサラッとしていて、意外にも私は落ち着いていた。医師から伝えられたように私もすぐに妻と息子2人、親戚に『俺さあ、腎臓がんらしい』って感じで、一斉に電話して伝えました。深く落ち込むよりも先に、重くならずに伝えられたのは良かったように思います。
自分ががんになって思ったのは、医学の進歩によってがんはそこまで“大仰な病”ではなくなったということです。以前はがんになるということが周囲に与える印象がもっと強かったように思います。
その昔がんになったことを隠して働き続けて、世間に公表する際に記者会見を開いた親友の逸見政孝くんのことを思い出しました。ありがたいことに、手術後の2年間は健康に過ごせています」
がんの治療を一人で乗り切るのは困難が伴う。相手が親であれ子であれ、可能な範囲で適切なサポートを求めるのに、躊躇はいらないはずだ。
※週刊ポスト2022年5月6・13日号