UFO(未確認飛行物体)問題がいま再び注目されている。昨年6月、米当局が軍のUFO調査報告を開示。「説明不能」な現象が多数あるとし、ペンタゴン(米国防総省)が調査機関を設置することを明らかにした。振り返れば、第二次大戦以降、東西冷戦期を通じて、米ソ両国はUFO問題の解明を国防・軍事戦略の重要課題として位置づけていた歴史がある。
終戦後、最大の「UFO事件」とされるのが、いわゆる“ロズウェル事件”だ。1947年7月、米・ニューメキシコ州にUFOが墜落、異星人の死体が回収されたとみられる事件で、今日に至るまで論争が続いている。米当局の公式見解は「軍事調査気球の落下物」だが、疑問視する声も多い。UFO問題に詳しい科学ジャーナリスト・高野誠鮮氏が語る。
「当時、当局の発表は二転三転しています。実はこの時、米国は回収したUFOのテクノロジーを分析し、いち早く実用化しようと考えたのではないか。そうした動きが、後に公開された各種公文書、関係者の証言からも読み取れるのです」
この一件により、米国民のUFOへの関心は高まる。米軍にも公的調査機関が設置されたが、確たる成果は得られなかった。ただし、それはあくまで「表向きの発表」だと高野氏は指摘する。
「その後、米空軍士官学校の教科書に『実に不愉快だが、彼らは5万年以上前から地球に来ている。現時点で、少なくとも3~4種の異なったエイリアンが飛来している』と記述するようになった。UFOが正体不明の飛行物体ではなく、少なくとも米軍関係者には“エイリアンクラフト”として認識されるようになったのです。原水爆以上の国防機密と言えるのでしょう」
米ソが軍拡を推進して緊張が高まった時代でもあった。1962年、「キューバ危機」が発生し、「第三次世界大戦」勃発が現実味を帯びた。
時の米大統領はJ・F・ケネディ。キューバ危機回避後は、宿敵・旧ソ連との宇宙開発にもしのぎを削った。
米国は、1961年に有人宇宙飛行に成功した旧ソ連の後塵を拝したものの、ケネディ肝いりの「アポロ計画」で人類初の月面着陸に成功。1972年まで計6回の有人探査を行なった。ここで注目すべきは歴代宇宙飛行士の交信記録に残された、UFO・異星人との遭遇を連想させる肉声だ。
〈月にはサンタクロースがいた〉〈また“訪問者”が来た〉〈奴らは、われわれを監視している〉──。
「UFO情報」公開を進めようとしたともいわれるケネディは、月面着陸成功を待たず、暗殺されている。
※週刊ポスト2022年5月6・13日号