昨年、アメリカ・国防総省がUFO(未確認飛行物体)について調査する組織を設置し、再びUFOへの関心が高まっている。冷戦時代から、米ソがその正体を解明しようと躍起になっていたのは事実だが、“真偽”が入り乱れるからUFO問題は複雑だ。UFOのイメージと言えば、円盤に3つの着陸ギアが付いた「アダムスキー型」を連想する人が多いだろう。名称の由来となったのは、ポーランド系米国人のジョージ・アダムスキー氏。
1950年代初頭、アダムスキー氏は「空飛ぶ円盤」との遭遇を主張。その後、「証拠」とするUFO写真を次々と公開し、世間の注目を浴びた。同氏はUFOに乗り地球に飛来した「金星人」とコンタクトしていることを明かし、次々とベストセラーを世に送り出した。
当時、米ソは宇宙開発競争に乗り出していたが、米探査機の「マリナー2号」が1962年に観測に成功するまで、金星は“未知の惑星”だった。太陽系に地球外知的生命体が存在する可能性を信じる人は少なくなかった。
だがその後、アダムスキー氏が撮影したとされるUFO写真やフィルムに多数のトリックが指摘された。同氏は確たる説明をしないまま1965年に死去している。
1970年代に入り、アダムスキー氏と同様に「宇宙人とのコンタクティ」を自称するスイス在住のビリー・マイヤー氏が注目を集めた。同氏は地球から約440光年離れた「プレアデス星人」との交流を主張。1000点以上に及ぶ鮮明なUFO写真・映像を公開した。こちらも同様に数々の偽造が指摘されているが、マイヤー氏は認めていない。
昭和、平成にかけ、数々のUFO番組を担当した民放テレビ関係者はこういう。
「かつては視聴者などから持ち込まれた映像を見て、われわれプロが“すごい”“面白い”と思えば、そのまま番組で流していました。でも、現代は、素人でも簡単に画像や映像を加工できる。最近は、CGで作ったUFO映像を持ち込む人もいますし、見た時の驚きも薄れた。UFOはじめ、いわゆる“オカルト特集”がテレビで減っているのは、そうした事情もあるんです」
英国を中心に穀物畑に現われた「ミステリーサークル」も、異星人との関連を指摘されたが、その大半が「いたずら」だったことが判明している。
※週刊ポスト2022年5月6・13日号