妖怪好きの友人に勧められて、なんとなく見始めた4月から放送中のドラマ『妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-』(テレビ朝日系)。
見ていて気づいた。ただのホラーコメディ、あるいは主人公の成長物語とあなどるなかれ。芸達者な役者たちが演じる妖怪たちはまるで隣にいる誰かのように人間味あふれ、ストーリーも奥深いのだ。
2020年に放送され、ギャラクシー月間賞も受賞した第1シーズンに続くのが今作。オリコンの最新のドラマ満足度調査(4月5日~4月11日放送を対象)では1位獲得、とドラマ通から非常に評価が高いことからも、このドラマがいかに魅力的かがうかがえる。さらに掘り下げてみよう。
核心をつく妖怪たちの言葉が心に残る
主人公、目黒澪(小芝風花)は人に嫌われることを恐れ、自己評価も低いうえに人を信じやすいという、なんともあぶなっかしいタイプ。
そんな澪が、四谷怪談のお岩さん(松本まりか)、酒呑童子(毎熊克哉)、座敷童子(池谷のぶえ)、ぬらりひょん(大倉孝二)という、4人の妖怪や幽霊、精霊たちとのシェアハウス生活で少しずつ変わっていく。
そして見つけた夢を叶えるべく“妖怪ヒラキナオリ”としてシェアハウスから羽ばたいていった、というのが前作のあらすじ。
今作では、夢やぶれて極貧生活となった澪がシェアハウスに出戻るところからスタートする。澪は作家志望で、ようやく出版した本はイマイチ売れず、今は書けない(実は呪いがかかっている)という超スランプ状態なのだ。
「世の中は、お金がないと自由に生きることができない」
これは第1怪(第1話)で、座敷童子がボロボロの澪を見てつぶやく言葉だ。夢があれば金はいらないなんて、今の世の中じゃムリというわけ。
そう、このドラマの魅力のひとつは、妖怪たちが口にする言葉が核心をついていて、ハッとさせられることだ。