旅行ガイドブックのパイオニア、『地球の歩き方』とオカルト雑誌『月刊ムー』の異色コラボが話題を呼んでいる。コロナ禍で旅行需要が落ち込む中、今年2月に刊行された『地球の歩き方 ムー 異世界(パラレルワールド)の歩き方』は、発売直後から売り切れ店が続出。4月中旬までに6刷11万部を突破する異例のベストセラーとなった。
同書は世界中に点在するミステリースポットを独自の視点で紹介。ピラミッドをはじめとする古代遺跡のほか、UFOやUMA(未確認動物)の目撃地など「実際に行ける」スポットを網羅した。
海外への渡航制限が続く中、なぜ、異色のガイドブックを世に送り出すことになったのか。担当プロデューサーの池田祐子さんに聞いた。
「昨年1月、『地球の歩き方』が『月刊ムー』と同じ学研グループに入り、“一緒に何かやろう!”という話が進んだんです。両者ともに1979年の創刊で、40年以上にわたる互いのノウハウを活かせば最高に面白いガイドブックができると考えました」
例えば、エジプト3大ピラミッドの紹介ページでは『歩き方』側が「紀元前2500年ごろ、当時の王たちによって造られた」と解説するのに対し、『ムー』側は米探査機が撮影した火星のピラミッドを引き合いに、「エジプト文明のルーツは火星?」と問いかける。
「今までの『歩き方』のように定説を紹介するだけではなく、『ムー』的な視点を取り入れたことで、読者の想像力を刺激、わくわくしてほしいとの思いを込めました」
そう話す池田さん。UFO関連のお勧めスポットは「やはり米国のロズウェルでしょう」という。
「UFO墜落事件の舞台として、地元も積極的な観光客誘致につなげており、UFO博物館もあります。街の至るところにUFO・宇宙人関連のオブジェやグッズが溢れ、ファンにはたまらないスポットです」
そのロズウェル事件で回収されたUFOが運び込まれたとされる米空軍施設「エリア51」も同様に、マニアの聖地となっている。
「もちろん施設内に入ることはできず、外からの写真撮影にも制限がありますが、周辺では今もUFOの目撃情報が多数あります。また、シアトルの南東100kmに位置する標高4392mの『マウントレニエ』は先住民から『神の宿る場所』と呼ばれ、付近でのUFO目撃情報が多い。1947年、上空を飛行中の実業家、ケネス・アーノルド氏が“空飛ぶ円盤”に遭遇し、米国初のUFO目撃事件が起きた場所としても有名です。シアトルからのツアーも催行されているので、UFO探しに挑戦してみてはいかがでしょうか」(池田さん)
※週刊ポスト2022年5月6・13日号