世間から注目される朝ドラに出演することは、女優にとってステータス。キラキラと輝く「朝ドラ女優」たちについて、コラムニストで放送作家の山田美保子さんが分析します。
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黒島結菜サン(25才)がヒロインを務める2022年度前期のNHK連続テレビ小説(以下、朝ドラ)『ちむどんどん』は、沖縄の本土復帰50年を記念し、本島北部のやんばる地域を舞台にした「家族」の物語です。
ファーストシーンは、ヒロインの子供時代の稲垣来泉チャン(11才)がシークワーサーの木の枝に何度も飛びつき、それがいつの間にか、黒島結菜サンに変わり、果実をもぎとり、かぶりつくという、彼女の清々しいルックスにふさわしいものでした。
10代の頃、「あの子は誰?」と世間をおおいに賑わせたNTTドコモのCM「想いをつなぐネットワーク」篇以来、黒島サンの出演作を追いかけていた私は、ついにこの日が来たか……と感動で震えてしまいました。
実は黒島サンは2014年の『孫のナマエ〜鴎外パッパの命名騒動7日間〜』(NHK BSプレミアム)に出演してから、地方局やスペシャル、続編などを含めるとNHK作品に20本以上も出演。「NHKに育てられた」と言っても過言ではないのです。
思えば、昭和の朝ドラヒロインの多くはほぼ新人で、色がついていない明るく元気なタイプばかりでした。CM出演もNGで、色がついていない優等生の“NHK出身”“朝ドラ女優”なる肩書は、その後のキャリアの邪魔になることも。明るく元気なまま、イメチェンできずに“おばさん”になっていくため、母親役や老け役に移行することがなかなかできなかったというワケです。
でも、開始時間が15分繰り上がり、8時ジャストに変更された2010年度前期の『ゲゲゲの女房』からは、作品にハマれば新人でなくてもヒロインに選ばれるように。『おひさま』の井上真央サン(35才)、『梅ちゃん先生』の堀北真希サン(33才)、『スカーレット』の戸田恵梨香サン(33才)、『なつぞら』の広瀬すずサン(23才)、『カムカムエヴリバディ』の深津絵里サン(49才)や上白石萌音サン(24才)らは、朝ドラのヒロインに選ばれる前から皆、主演女優さんでしたからね。
そして、“朝ドラ”の視聴者層を劇的に変えた立役者ともいうべき『ゲゲゲ〜』の松下奈緒サン(37才)は、夫役・向井理サン(40才)のブレーク前夜とも重なって、NHKの朝の大改編を成功させました。8時15分過ぎ、『あさイチ』の有働由美子アナウンサー(53才)や井ノ原快彦サン(45才)が“朝ドラ”の感想を言い合ったり、時に有働サンが涙ぐんだりするのが「お約束」になったのも『ゲゲゲ〜』から。松下サンは同年の『NHK紅白歌合戦』の紅組司会にも抜擢されました。
忘れもしません。その際、ドSな向井サンがNHKホールを訪れ、開口一番、松下サンに「緊張してんじゃない?」と言い、鼻で笑ったことを(苦笑)。劇中のツーショットがあまりにもお似合いだったため、一部で交際のウワサが流れていたお二人でしたが、あぁ違うんだ……と向井サンの熱烈なファンだった私は安心したことを覚えています。