投手陣のコマ不足で悩む球団は多い。下位に低迷する球団はトレードでのテコ入れに動く可能性が十分にある。そのなかで他球団から評価が高いのが、巨人・畠世周(27)だ。パ・リーグ球団の編成担当が語る。
「他球団のフロントとも話題に上がりますが、畠はいいですよ。故障が多いのはネックですが、先発ローテーションに入って2ケタ勝利できる能力は十分に秘めている。いまの巨人のように中継ぎの“便利屋”として使うのはもったいないですよ。尻上がりに調子を上げていくタイプなので先発向きだと思います。出血覚悟で主力を放出してでもトレードで獲得する価値は十分にあるでしょう」
パ・リーグだけではない。セ・リーグの球団からも「誰を放出すれば畠を獲れるかな」という声が聞こえてくる。
畠は当初、巨人でも「将来のエース」として期待は高かった。プロ1年目の2017年に13試合登板で6勝4敗、防御率2.99をマーク。150キロを超える直球、縦に落ちるカットボール、鋭く横滑りするスライダーは全てが一級品で、エース・菅野智之の後継者と目されていた。
だが、プロ6年目を迎えた現在でも、1年目の6勝が自己最多だ。1軍定着できない最大の要因は故障の多さ。2018年に腰痛、2019年に右肘の遊離軟骨除去手術、2020年に右肩の肉離れと毎年のようにケガで戦線離脱。ちなみにドラフト後にも右肘の遊離軟骨除去手術を行っている。「無事之名馬」という格言があるように、故障せずに試合で投げ続けることも一流と呼ばれる選手の条件だ。
昨季は開幕時に先発要員だったが、6月中旬から救援に配置転換。自己最多の52試合登板した。回またぎでも投げられるため首脳陣にとっては貴重な存在だ。4勝3敗1セーブ11ホールド、防御率3.07とセットアッパーで稼働した。
昨オフの契約更改で先発を希望していたが、今季も開幕から救援で起用されている。15試合登板で1勝4ホールド、防御率3.94(数字は5月11日終了時点、以下同)。4月30日の阪神戦で3点ビハインドの7回2死満塁から救援登板し、大山悠輔に押し出し四球、糸井嘉男に2点適時打、8回に山本泰寛に2ランを被弾したが9回まで投げ切った。2回2/3で48球を投げて2安打2失点の投球内容で、翌5月1日に登録抹消された。