犬や猫も人間同様、年を取れば体や心の変調に襲われる。少し前まで諦めざるをえなかった命を、医療の進歩で救うことができるようになった。楽しい日々をともに暮らし、つらい時を支えてくれた愛しいペットと穏やかに過ごすための“備え”は、今からでも遅くない。
ペットも人間同様、加齢に伴い、様々な病気のリスクが高まる。がん、腎臓病、心臓病、白内障など人と同じような病気を患い、小さな体で苦しみに耐えている犬、猫は多い。一方、かつては治すのが難しかった病気が手術で根本的に治療できるなど医療の進歩も目覚ましい。高度医療に特化した病院では最先端の設備と専門的な医療技術で、かかりつけ医の紹介のもと重症患者の受け入れや高度な手術を行なっている。
高齢猫の多くが腎臓病を発症するが、現在“夢の特効薬”として期待を集めているのが、免疫学者・宮崎徹氏が研究開発中の猫の腎臓病治療薬(AIM薬)だ。発見したタンパク質「AIM」が猫の腎臓病に効果があると実証。東京大学大学院教授だった昨夏、コロナ禍余波の資金難で研究が苦境に陥ったことが報じられると愛猫家を中心に約3億円の寄付が集まった。同氏は今春、東大を退職し、「AIM医学研究所」を設立。早期の治験、実用化を目指している。
病気からペットを守るために知っておきたい兆候と治療法
●トイ・プードル
【気をつけたい病気】骨折。特に前肢の橈骨(とうこつ)・尺骨(しゃっこつ)が多い
【主な兆候】突然の強い痛みを感じる様子、肢(あし)を挙げる、歩様の異常など
【予防・治療】家具の隙間やドアに肢を挟んだりしないよう注意をする。抱っこからの落下にも要注意。ギプスでの固定、もしくは手術が必要なことが多い
●チワワ
【気をつけたい病気】僧帽弁閉鎖不全症(左心房と左心室の間にある弁の機能が悪くなり、血液の逆流を起こす)
【主な兆候】初期は疲れやすい様子。無症状の場合もある。進行すると咳や呼吸の苦しさがあり、呼吸不全から死に至ることも
【予防・治療】定期的な健診(聴診)による早期発見。薬物療法や食事療法を行なう。近年では僧帽弁の手術も可能となっている