王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦で藤井聡太竜王(19)との対局を制し、将棋ファンを驚かせた大橋貴洸六段(29)。今回の対局で対藤井戦4連勝を果たし、新たな“藤井キラー”として注目を集めている。
将棋ライターの松本博文氏は、大橋六段の強みについてこう話す。
「最近の若手棋士はみんな真面目ですが、大橋六段も非常に勤勉。勝率の高い若手らしいオーソドックスな棋風に見えます。居飛車の最新形にも通じる一方で「耀龍四間飛車」(ようりゅうしけんびしゃ)という独創的な戦法も編み出し、現代の序盤戦術に大きな影響を与えました。トータルで強い、という印象です。人柄も穏やかで礼儀正しく、将棋ファンからの人気も高い」
今でこそたしかな実力者として評価されているが、最初から棋力が安定していたわけではない。2006年に14歳で奨励会に入るも、その後プロ棋士となるまでに10年かかり、四段に昇段したのは24歳のときだった。原則として満26歳までに四段になれなければ奨励会を退会しなくてはならない将棋界では、「遅咲き」と言えるのかもしれない。
前出・松本氏は大橋六段の今後の活躍にこう期待を寄せる。