サブスクリプションや見逃し配信サービスも進んで、テレビドラマへのアプローチも変わってきている。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。
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折り返し地点にさしかかった春期のドラマ。人気の方はどうでしょうか。今やドラマの評価を測るバロメーターは世帯視聴率だけでなく、動画再生回数や満足度調査などさまざまなモノサシがあります。
最新のドラマ満足度調査(4月19日~4月25日放送対象/ORICON NewS)を見てみると、1位は山下智久主演『正直不動産』(NHK総合)というから驚き。民放でもないし目立つような派手なドラマではない。
しかし、その満足度の評価には納得。私自身も初回からその面白さに引き込まれてしまった一人です。「山下智久『正直不動産』が奇妙な面白みを感じさせるのはなぜか」(2022.04.16「NEWSポストセブン」)に書いたように、フィクションの荒唐無稽さと不動産業のリアルさとが絶妙に組み合わさった、興味深いドラマに仕上がっています。
だから、脱落せずに見続けることができる。裏を返せば、途中で脱落した春期ドラマも数多い。犯罪コーディネーター、元天才ボクサー、上流社会の一族……刺激的な設定が並ぶわりに内容が子どもっぽかったり薄っぺらかったり。ネット上での話題もさほど盛り上がっていない様子。
世のSDGs(持続可能な開発目標)ではないですが、ドラマ視聴も「持続可能性」が問われる時代かもしれません。では、冒頭の『正直不動産』以外に続けて視聴しているドラマといえば? 私の場合、その一つがまさしく『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS系火曜午後10時)です。
これがまた地味なドラマで、日常の中のささやかな出来事がメイン。ヨガインストラクターの主人公・沢田杏花(上野樹里)は、妻に先立たれた父・林太郎(松重豊)の婚活をサポート。ついでに自分も婚活パーティーへ足を運ぶ羽目に。
杏花は自分の仕事が気に入っていて、インストラクターとして独立を目指す。結婚願望は強くなく、恋人は欲しいが世話の焼ける面倒な男は相手にしたくない。たまたま起業セミナーで出会った東村晴太(田中圭)と意気投合し、二人の距離は微妙に近いていくが……。
杏花の性格は大雑把でおおらか、家事は雑。父とは口ゲンカが絶えないという、ある意味どこにでもありそうな平凡な日常。上野樹里さんは、そうした空気を作り出すのが実に上手な役者です。ふとした口調、ちょっとしたしぐさに生活のリアルが息づく。大きな事件や出来事は起こらないけれど、本人にとって大切な「独立」問題で判断に迷ったり、晴太との微妙な距離に心を揺らしたり。細やかな感情の推移が描かれていきます。
杏花の心を揺さぶる東村晴太役・田中圭さんも、ハマリ役。もっと近づきたいけれどちょっと踏みとどまる、躊躇しながらも少し前に出る、そんな微妙な演技をさせたら田中さんの右に出る役者さんはいない。