ライフ

現地ルポ「本土復帰50周年」の節目を迎える沖縄 写真が語る歩みと現在

普天間飛行場:市街地の真ん中にあり“世界一危険な飛行場”と呼ばれる普天間飛行場。オスプレイのほか、CH-53大型ヘリやAH-1Z対戦車ヘリなど所属機が並ぶ。基地の約9割が米軍占領と同時に強制接収され空軍基地に。爆音と演習被害の危険にさらされている付近住民だけでなく地権者らも早期返還を望んでいる

市街地の真ん中にあり“世界一危険な飛行場”と呼ばれる普天間飛行場。オスプレイのほか、CH-53大型ヘリやAH-1Z対戦車ヘリなど所属機が並ぶ。基地の約9割が米軍占領と同時に強制接収された

 5月15日、沖縄は日本に復帰して50年の節目を迎える。戦乱に蹂躙された後に訪れた“平和”は、半世紀の歴史で何が変わり、何を変えることができなかったのか。

 沖縄にある米軍専用施設の総面積は1万8484ヘクタールにのぼる。国土面積わずか0.6%の沖縄に全国の米軍施設の約70.3%が集中する。米軍の駐留経費は毎年2000億円超が計上される「思いやり予算(同盟強靭化予算)」、すなわち日本側の負担だ。50年前の復帰当初は全国の米軍基地に占める沖縄の割合は約58.7%だったが、本土の整理・縮小に伴い、沖縄に移転した。

 復帰後、米ドルから日本円に通貨が切り替えられ、本土との往来にパスポート(身分証明書)が不要になるなど、沖縄は大きく様変わりした。映画やドラマなどの影響で1990年代には沖縄ブームが起こった。2018年度には観光客が1000万人を突破。観光収入も約7340億円と県民総所得の約15%を占めるまでに至った。県民の生活水準が徐々に向上する一方、米軍基地問題に加え、自衛隊基地問題が沖縄に重くのしかかる。

「50年の節目ですが、県民が盛り上がる様子は見られません。復帰当時を知る高齢層にとって『復帰』に託した期待は喪失したからです。50代以下の世代には『復帰』は単なる過去の出来事。『だから何?』という感じでしょう」(沖縄国際大学・前泊博盛教授)

「基地のない平和な沖縄」という県民の願いもむなしく、基地は返還どころか、固定化の様相さえ呈している。背景には中国脅威論や北朝鮮の核開発など、東アジア情勢の不安定さがある。安全保障の重要性から、基地負担の軽減と軍事力強化の狭間に、沖縄は常に立たされている。

関連記事

トピックス

格闘技イベント『BreakingDown』の会場に行った川口さん(本人Xより)
《“男性の体臭発言”で炎上》川口ゆりを司会に…イベント主催者が明かす「起用の経緯」と「参加者からの反応」
NEWSポストセブン
宮田笙子(時事通信フォト)
《喫煙・飲酒でパリ五輪辞退》体操女子の宮田笙子選手、400年の歴史誇る寺院の母親が明かした現在「まだ実家にも帰ってきていません」
NEWSポストセブン
12月中旬に小倉智昭さんの葬儀が営まれた
《本は数万冊、CDやDVDは約2万枚》小倉智昭さん、叶わなかった妻の願い「コレクションを眺めながらお別れの時間を」
女性セブン
M-1での復帰は見送りとなった松本(時事通信フォト)
《ダウンタウン松本人志の現在》“幼なじみ”と模索する地上波復帰…浮上した意外な「番組」
NEWSポストセブン
内田容疑者は北海道留萌市の高校生・村山月さん(17)を殺害した疑いがもたれている
【旭川女子高生殺害】駅裏で売春のために立っていた少女たちは今…内田梨瑚被告(22)の逮捕で変わった繁華街「サンロク街」の現在、警察が本腰入れるもキッズたちはSNS使って“買う男”探し
NEWSポストセブン
送検時の平原容疑者(左、共同通信)。右は高校時代の平原容疑者
「被害者と同じ歳くらいの娘がいたと聞いている」平原政徳容疑者に「数か月前に離婚した」証言も…謎が深まる“犯行動機” 【北九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
私的な外出が増加している紀子さま(2023年、ベトナム・ハノイ。写真/時事通信フォト)
《悠仁さま、推薦で筑波大学に合格》大学決定の過程で“蚊帳の外”だった紀子さまに起きた変化、私的な外出が増加
女性セブン
「結婚式はホテルオークラ。列席者には政財界の大物からヤクザまでいた」(力道山の妻だった田中敬子さん)
【生誕100周年・力道山】「力道山未亡人」が明かす英雄の素顔 「最終的には政治家になって朝鮮統一を成し遂げようと考えていました」
週刊ポスト
無罪判決となった須藤早貴被告
《紀州のドンファン・13億円の遺産》「私に渡したいって…」元妻・須藤早貴被告が無罪判決で勝ち取る「13億円遺産相続」のゆくえ 野崎さんきょうだいら・田辺市との“3すくみバトル”
NEWSポストセブン
平原容疑者の高校生時代。優しい性格だったという
【北九州・女子中学生刺殺】「まさかあいつが…」平原政徳(43)の高校クラスメイトが語った素顔「バスケ部で、喧嘩を止めるタイプだった」優しい男が凶悪犯に変貌した理由
NEWSポストセブン
民事裁判は今年11月26日、新井氏に165万円の支払いを命じた判決が確定している
【今度は「胸と太ももを触られた」と主張】群馬・草津町長からの“性被害でっちあげ”の罪に問われた新井祥子・元町議 初公判で主張した“わいせつ行為”の内容の不可解な変遷
NEWSポストセブン
送検時の平原容疑者(共同通信)
「大声出して何が悪いんだ!」平原政徳容疑者(43・無職)、事件3日前に「大量のカップ酒」空き瓶が…ゴミ収集車が行った後に 近隣住民が感じた恐怖【北九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン