5月15日、沖縄は日本に復帰して50年の節目を迎える。戦乱に蹂躙された後に訪れた“平和”は、半世紀の歴史で何が変わり、何を変えることができなかったのか。
沖縄にある米軍専用施設の総面積は1万8484ヘクタールにのぼる。国土面積わずか0.6%の沖縄に全国の米軍施設の約70.3%が集中する。米軍の駐留経費は毎年2000億円超が計上される「思いやり予算(同盟強靭化予算)」、すなわち日本側の負担だ。50年前の復帰当初は全国の米軍基地に占める沖縄の割合は約58.7%だったが、本土の整理・縮小に伴い、沖縄に移転した。
復帰後、米ドルから日本円に通貨が切り替えられ、本土との往来にパスポート(身分証明書)が不要になるなど、沖縄は大きく様変わりした。映画やドラマなどの影響で1990年代には沖縄ブームが起こった。2018年度には観光客が1000万人を突破。観光収入も約7340億円と県民総所得の約15%を占めるまでに至った。県民の生活水準が徐々に向上する一方、米軍基地問題に加え、自衛隊基地問題が沖縄に重くのしかかる。
「50年の節目ですが、県民が盛り上がる様子は見られません。復帰当時を知る高齢層にとって『復帰』に託した期待は喪失したからです。50代以下の世代には『復帰』は単なる過去の出来事。『だから何?』という感じでしょう」(沖縄国際大学・前泊博盛教授)
「基地のない平和な沖縄」という県民の願いもむなしく、基地は返還どころか、固定化の様相さえ呈している。背景には中国脅威論や北朝鮮の核開発など、東アジア情勢の不安定さがある。安全保障の重要性から、基地負担の軽減と軍事力強化の狭間に、沖縄は常に立たされている。