お笑いタレントでダチョウ倶楽部のメンバー、上島竜兵さんに向けて多くの芸人が追悼コメントを寄せている。なかでも異質だったのが、上島さんを慕う「竜兵会」のメンバーとして知られる劇団ひとりのコメントだった。
5月14日、パーソナリティーを務めるFM-FUJI「劇団サンバカーニバル」に出演した劇団ひとりは、真剣な口調で「みなさんはすでに知ってると思うので、触れないのも気持ちが悪いし。かといって、昨日今日の出来事だから笑い話にできるかというと、そこまでには至ってないし、いつか笑い話にできるように腕を磨いていくというのが、芸人としてのひとつの課題」と語り出した。
しかしその後、「ごめんなさい。改めて事情を知らない方もいると思うので」と続けて言ったのは、「『市原隼人、撮影現場では絶対にうどんしか食べない』というネットニュースなんですけど」という一言。「パフォーマンスをあげるためには、現場では油物を一切食べないという。いろいろ麺類がある中で、うどんっていうのが、すみません。まだ笑い話にできないです」と追悼に見せかけたボケだったことが明らかに。その後も一切、上島さんのことに触れなかった。
実に劇団ひとりらしい追悼だったと、ベテラン芸能ライターが言う。
「同じ竜兵会のメンバーである有吉(弘行)さんや土田(晃之)さんがシリアスなムードで追悼したのに比べて、ひとりさんは際だっていました。どちらが良い悪いではなく、ここでもあえてボケることこそ上島さんへの追悼に相応しいと、ひとりさんなりに考えたのではないでしょうか。このボケに、師匠である上島さんへの弔いの気持ちが込められているように思えました」
劇団ひとりの師弟愛に対する美学が伺えたのが、自身が監督した映画『浅草キッド』だ。ビートたけし(柳楽優弥)と師匠・深見千三郎(大泉洋)を描いた同作の最後、亡くなった深見の遺影を前に、たけしは泣き笑いの表情を浮かべながらその死をいじり倒す。師匠への愛情表現が凝縮された名シーンだった。