一時は勝率0割台にまで沈んだ阪神タイガースの“ダメ虎”ぶりに、開幕直後から夕刊紙には矢野燿大監督の「途中休養」の文字が躍った。開幕9連敗の後には藤原崇起オーナーが矢野監督の去就について「当然、シーズン終了まで采配を振るってもらう」と火消しに走る騒ぎとなったが、すでに具体的な後継候補の名前が飛び交っている。
「球団が更迭しなくても、矢野監督が自ら休養を申し出る可能性はまだある。正捕手を梅野(隆太郎)に固定せず、お気に入りの坂本(誠志郎)を併用するなど“矢野チルドレン”の重用でチーム内に不満が鬱積している。結果が出ないままだとチームが崩壊しかねない。途中休養なら平田勝男・二軍監督の昇格ではないか。平田体制を3年ほど続ければ、藤川球児、鳥谷敬、今岡真訪(誠)といった元人気選手を次期監督候補として育てられる」(在阪スポーツ紙デスク)
選手として1985年の日本一を経験し、2005年は監督としてリーグ優勝を果たした岡田彰布氏の再任とみる声も根強くある。
「監督人事は親会社である阪急阪神ホールディングスの角和夫会長が首を縦に振らなければ決まらない。角会長は同じ早稲田大学出身の岡田氏と親しい。岡田氏なら同じく早大の後輩にあたる鳥谷をコーチとして招聘できるし、JFKの一角として岡田氏に抜擢された藤川も入閣を断わらないはずだ」(阪急阪神HD関係者)
当然のように候補に挙がるのは阪神OBの名前ばかりである。
阪神の球団史のなかで現役時代に在籍経験のない“外様監督”は、野村克也氏(1999~2001年)と星野仙一氏(2002~2003年)のみ。両氏のもとで主軸を打った広澤克実氏は「関西のファンは生え抜きと活きのいい若手が大好きなんですよ」と話す。
「次の監督は掛布雅之さんがいいんじゃないか。過去の金銭トラブルがネックと言われるが、一体いつの話なんだと。阪神のことをよく知っているし、ファンの人気も根強い。阪神が負けても人気があるのは、“生え抜き”と“若手”を大事にするからですよ」
自身もヤクルト、巨人を経て阪神に移籍した広澤氏は、「(クラウンライターから移籍した)真弓(明信)も、(広島から移籍した)金本(知憲)も、(中日から移籍した)矢野も、一部からは“外様監督”扱いされるくらい。それほど生え抜き重視の文化がある」と強調した。
ところが、である。今回の後継監督人事を巡って浮上しているのが、完全な“外様”である元中日監督・落合博満氏の名前なのだ。