参院選が迫る中、有権者が知っておきたいのは「国会議員がどれだけ仕事をしているか」だ。本誌・週刊ポストは、『データ分析読解の技術』(中公新書ラクレ)の著書がある政治学者・菅原琢氏が運営する『国会議員白書』サイトのデータをもとに、全衆院議員の「質問主意書提出数」「本会議と委員会での質問回数(発言数)」の2項目を、加えて「議員立法数」を客観的に集計し、各議員の国会での仕事ぶりを調べた。その結果、いずれの項目ゼロだった「オールゼロ」の国会議員は10人いたことがわかった。彼らの言い分を紹介しよう。
なお、集計の対象期間は衆院議員としての前回の任期(衆院選投票日の2017年10月22日から、2021年10月14日の衆院解散で失職するまで)だ。その間、通常国会4回、臨時国会が7回、合わせて11回の国会が開かれていた。
その4年近くにわたって「オールゼロ」だった10人の顔触れを見ると、自民党では甘利明・前自民党幹事長、石破茂・元幹事長、森山裕・総務会長代行、野党は旧自由党党首で立憲民主党の結党に参加した小沢一郎氏など大物議員やベテランが目立つ。
続くのはかつての「民主党のホープ」で昨年の総選挙後に自民党入りした細野豪志氏、さらに自民党の「将来の総裁候補」と嘱望されている小渕優子・元経産相、林芳正・外相、下村博文・元文科相が揃ってランクインしているのには驚かされる。
では、各議員の言い分を聞こう(各議員の回答は別掲の表参照)。
まず自民党の森山氏だ。
「私は国対委員長を務めたので、国対の議員は普通質問には立たない慣例がある。質問主意書は野党が出すものでしょう。与党なので出していない」
自民党は野党議員が多くの質問主意書を出すことを「役所の業務に支障をきたす」と批判してきた。だが、国会での質問機会に限りがある以上、与党でも野党でも質問主意書は政府の見解を質す重要な手段のはずだ。
自民党反主流派の論客として知られる村上誠一郎氏の説明は興味深い。
「当選回数が多くなると、国会質問は若手に譲るという慣例がある。注目される機会をつくってあげようということ。それと私自身は10年間も党総務会に籍を置き、毎週火・金に政策について議論をし、自民党執行部に意見を申し上げている。加えて言うと、私自身は正論を述べるので、選挙前になるとそうした質問者は党が出したがらないということもあると思う」