ウクライナ戦争が始まって、まもなく3か月が経つ。しかし、アメリカの調査機関などから長期戦を示唆する分析結果も出始め、いまだ終息の兆しが見えていない。
ロシア軍に包囲されたウクライナ南東部マリウポリのアゾフスタル製鉄所では、ウクライナ部隊2000人以上が兵糧攻めにされたうえ砲撃を受けるなど苦しい戦いを強いられていたが16日以降、ウクライナ兵の退避が続いている。一方、ロシア軍の撤退の動きが伝えられている北東部ハルキウでは、住民の帰還が始まった。
一進一退が続くなか、ロシアのプーチン大統領の暴走が心配される。4月15日、ウクライナのゼレンスキー大統領は米CNNのインタビューでこう述べた。
「ロシアが核兵器や化学兵器を使う可能性がある。彼(プーチン大統領)らにとって人々の命などなんでもない。覚悟を決めるのです。これはウクライナだけでなく、全世界の問題なのです」
世界に向けて核戦争に備えるよう警告したのだ。さらに翌日、ゼレンスキー大統領は公開した動画でこう追言した。
「ロシアが核兵器を使うのをただ待つべきではない。世界各国はシェルターなどさまざまな方法で備える必要がある。ロシアが核兵器使用の考えを起こさないよう、交渉を行うとともに経済に圧力をかけるべきだ。ロシアはどんな兵器でも使いかねない国で、絶対に信用してはならない」
侵攻を受ける国の若きリーダーの悲痛な叫び──しかし、その脅威について日本はまだ“対岸の火事”という考えが強い。都内在住の60代主婦が言う。
「ウクライナ戦争のニュースを見るたび胸が苦しくなりますが、日本で同じようなことが起きるとは、正直、想像できません。日本は戦争しないんですよね? 核シェルターまで、本当に必要なんでしょうか」
戦地となったウクライナから地理的に遠いこともあり、日本全体として危機感の共有ができていないのは事実だろう。それでも専門家の話を聞けば自分たちが置かれている「危ない環境」が理解できる。元自衛隊陸将の福山隆さんが指摘する。
「日本は中国、ロシア、北朝鮮という核保有国に囲まれている。それなのに自国は核を保有せず、アメリカの“核の傘”の下に守られることになっている。それをしっかり認識すべき。このままではウクライナ同様、日本が戦場になるリスクがあるのです」