中国では、新型コロナウイルスの感染防止対策のため、北京の複数の大学で極端な隔離処置がなされている。これに対して学生らがデモや集会などの抗議行動を行い、大学当局と対立、警察が動員されるなど一触即発の状態に陥っている。米国を拠点とする中国問題専門ウェブサイト「博訊新聞網」などが報じた。
北京大学の学生と職員の居住区「北京大万柳公寓区」では、学生ら3000人が寮から出られず、食事にも事欠く生活を強いられているのに対して、職員らは自由に移動できるとの差別待遇に学生の怒りが爆発。5月15日夜に学生の一部が暴徒化して、警察が出動する騒ぎがあった。
その発端はこうだ。学生エリアと教員エリアを物理的に分けようと中央の庭に柵を建設している作業員をある学生が問いただしたところ、大学当局からの指示であることが分かった。この事実は学生の間にすぐに広まり、学生ら数千人が現場に集まった。
これに対して、北京大学の陳宝健・副学長兼中国共産党北京大委員会副書記が説得に当たったが、学生らは納得せず、警官隊が出動。その後、陳氏は各寮を訪ねて、希望を聞くことを約束したため、事態はようやく収まったという。
一方、北京第2外国語大学でも新型コロナウイルス感染防止のため、大学当局は学生らの校外への出入りを制限。やはり生活居住区を柵で囲うとの措置をとった。
しかし、これらの対応策について、事前に学生側に通知がなかったため、学生ら数百人が集まり、大学当局を批判する集会を開いた。これに対して警官隊が出動し、一時は騒然とした雰囲気に包まれた。しかし、同大でも大学の当局者が学生側と相談することで、学生側も納得したという。
北京では大学など教育機関が集中する海淀区やビジネス街である朝陽区などで、新型コロナウイルスの感染が拡大し、事実上のロックダウン状態に陥っている。とくに、学生街である海淀区では、学生らがSNSなどで、「学生を差別している」などとの不満を訴えている。