ロシアによるウクライナ侵攻が混沌とするなか、プーチン大統領の「健康不安説」が取り沙汰されている。
報じたのはテレビ朝日。ウクライナ国防省のブダノフ情報局長にインタビューし、「プーチン大統領は精神的、肉体的に非常に悪い状態にあることが確認できます。彼は重い病気です。同時に様々な病気を患っていて、そのひとつが、がんです」と語る映像をANNニュース(5月15日)で流した。
ウクライナ当局からの情報なので、鵜呑みにはできないが、同様の分析は海外のメディアからも出ている。
米誌「ニューラインズ・マガジン」(オンライン版5月12日付)は、欧米のベンチャーキャピタルが3月中旬にクレムリンに近いオリガルヒ(ロシアの新興財閥)に接触し、「プーチンは血液のがんで重病だ」と話している会話の録音ファイルを入手したと報じた。そのオリガルヒの名は明かせないとした上で、情報当局に照会し、プーチン氏に近い「20~30人の親しい輪」の一人と確認したという。
「『血液のがん』説に信憑性を与えているのは、プーチン氏の顔の変化です。以前と比べて、明らかに顔がむくんでいますが、抗がん剤と併用するステロイドには顔のむくみが副作用として起きることが知られているからです」(外務省関係者)
これまでもプーチン氏の健康状態を巡っては、様々な憶測が飛び交ってきた。
プーチン氏は6年ほど前からパーキンソン病を患っている可能性が指摘され、今年4月21日のセルゲイ・ショイグ国防相との会談で、右手でテーブルの端を強く握り続けていたのも、手の震えを抑えるためではないかと疑われてきた。3月18日にモスクワで開かれた戦争支持派の大規模な集会でも、プーチン氏が足をひきずって歩いている様子が確認されている。
パーキンソン病は、脳の神経細胞が死滅して、体をコントロールできなくなる病気だ。手足の震えや筋肉のこわばり、歩行障害など運動障害が現われ、認知症の原因にもなるといわれる。国際ジャーナリストの山田敏弘氏はこう言う。
「すべて憶測の域を出ませんが、過去4年に腫瘍専門家と35回会ったとか、昨年秋に甲状腺の手術を受けたため9月はずっと表に出てこなかったとか、イギリスに亡命した元KGBのスパイが、『プーチンはパーキンソン病に加え、認知症も発症している』と証言したとか、様々な説が飛び交っています」