スポーツ

大関3人で合計26敗に「大関に勝った力士のインタビュー必要なのか」と好角家から疑問

千秋楽でなんとか勝ち越しを決めた貴景勝。敗れた正代は10敗に(写真/時事通信)

千秋楽でなんとか勝ち越しを決めた貴景勝。敗れた正代は10敗に(写真/時事通信)

 大相撲5月場所は横綱・照ノ富士が12勝3敗で3場所ぶり7度目の優勝となった。中日までに3つの黒星を重ねる苦しい星勘定だったものの、後半戦は取りこぼしなく横綱の責任を果たした恰好だ。ただ、照ノ富士と最後まで優勝争いをしたのは平幕の隆の勝(前頭4)、佐田の海(前頭12)だった。三役では関脇の若隆景、小結の豊昇龍、大栄翔が勝ち越したものの、序盤から黒星が先行して優勝争いにはほとんど絡めなかった。さらに不甲斐なかったのが3人の大関陣である。

 千秋楽に正代を突き落としで破った貴景勝がなんとか8勝7敗での勝ち越しを決めたが、この一番も取組中に貴景勝の足が土俵外に出たと物言いがつく微妙な内容だった。皆勤した大関が全員負け越すという史上初の不名誉な記録こそ免れたが、6勝9敗に終わった御嶽海と5勝10敗だった正代は来場所をカド番で迎えることになる。

 荒れに荒れた5月場所となったが、ある古参相撲ファンは「もはや大関に勝った力士をインタビュールームに呼ぶのは考えたほうがいいのではないか」と語る。「大関に勝って当たり前というムードさえあり、初日から3日連続で大関を破った琴ノ若(前頭2)などは呼ばれたほうが照れくさそうに見えたほどです」とその理由を続けた。

 たしかに今場所は3大関の黒星が合計で26を数えた。対横綱戦と大関同士の一番での黒星が6つだから、格下の相手に敗れた取り組みが20もあったのである。関脇や小結も大関や横綱に勝てば殊勲インタビューに呼ばれるが、とりわけ注目度が高まるのは大関が平幕に敗れる、俗に言う“銀星”となった時である。普通の場所なら殊勲として扱われて当然だが、5月場所は大関陣が平幕に敗れた取組が実に12番もあった。NHKの放送時間ギリギリに慌ただしくインタビューに呼ばれる日もあり、大関陣の情けない相撲内容を強調する結果となった。

 好角家で、経済効果の試算で知られる関西大学名誉教授の宮本勝浩氏はこう話す。

「平幕が横綱相手に金星を挙げ、大関が若い力士に苦戦する。下克上は悪いことではないし、番付が下の者にとって大関に勝つことは名誉なこと。勝った力士がインタビューされるのは励みになると思うので本来なんの問題もないはずですが、今場所のように大関が弱すぎると“いちいちインタビューが必要なのか”という声まで出てしまうのでしょう。見ている側としては、13日目の正代-御嶽海戦や14日目の御嶽海-貴景勝戦のように、7敗同士の大関が対戦して、敗れたほうが負け越しになるというような事態は避けてもらいたいですね」

 平幕が大関に勝つことが“快挙”と感じられなくなってしまっているということだ。来場所はそんなことが起きないよう、大関陣の奮起を願いたい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田中真一さんと真美子さん(左/リコーブラックラムズ東京の公式サイトより、右/レッドウェーブ公式サイトより)
《真美子さんとの約束》大谷翔平の義兄がラグビーチームを退団していた! 過去に大怪我も現役続行にこだわる「妹との共通点」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《「来来亭」の“ウジムシ混入ラーメン”動画が物議》本部が「他の客のラーメンへの混入」に公式回答「(動画の)お客様以外からのお問い合わせはございません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《追加生産決まる人気ぶり》佳子さまがブラジル訪問で神戸発ブランドのエレガントなワンピースをご着用 ブラジルとの“縁”を意識されたか
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンを食べようとしたらウジ虫が…》「来来亭」の異物混入騒動、専門家は“ニクバエ”と推察「チャーシューなどの動物性食材に惹かれやすい」
NEWSポストセブン
「ONK座談会」2002年開催時(撮影/山崎力夫)
《追悼・長嶋茂雄さん》「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 長嶋一茂のヤクルト入りにカネやんが切り込む「なんで巨人は指名しなかったのよ。王、理由をいえ!」
週刊ポスト
タイ警察の取り調べを受ける日本人詐欺グループの男ら。2019年4月。この頃は日本への特殊詐欺海外拠点に関する報道は多かった(時事通信フォト)
海外の詐欺拠点で性的労働を強いられる日本人女性が多数存在か 詐欺グループの幹部逮捕で裏切りや報復などのトラブル続発し情報流出も
NEWSポストセブン
6月9日付けで「研音」所属となった俳優・宮野真守(41)。突然の発表はファンにとっても青天の霹靂だった(時事通信フォトより)
《電撃退団の舞台裏》「2029年までスケジュールが埋まっていた」声優・宮野真守が「研音」へ“スピード移籍”した背景と、研音俳優・福士蒼汰との“ただならぬ関係”
NEWSポストセブン
小室夫妻に立ちはだかる壁(時事通信フォト)
《眞子さん第一子出産》年収4000万円の小室圭さんも“カツカツ”に? NYで待ち受ける“高額子育てコスト”「保育施設の年間平均料金は約680万円」
週刊ポスト
6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン