5月10日、自民党参院議員の政治資金パーティで挨拶に立った細田博之・衆院議長の「議長になっても毎月もらう歳費は100万円しかないんです。しか、と言うと怒られちゃうけど。会社の社長は1億円は必ずもらうんですよ」という発言が波紋を呼んでいる。
この発言が国民の怒りを呼んだのは、「月100万円しか」の部分だけではない。国会議員には歳費の他に、“第2の給料”と呼ばれる毎月100万円の「文書通信交通滞在費」(調査研究広報滞在費に名称変更された)をはじめ、格安議員宿舎や無料航空券、新幹線やグリーン車乗り放題のJR無料パスなど実質的な“隠れ報酬”というべき費用が国費(税金)から提供されている。そうした数々の“議員特権”に頬被りして、“歳費は高くない”と平然と言ってのける感覚に怒ったのだ。
日本維新の会の音喜多駿・参院議員は昨年(令和3年分)の「給与所得の源泉徴収票」を本誌・週刊ポストに提供してくれた。国から支給された歳費は年額1922万5604円。この源泉徴収票から、国会議員の歳費2割カットの“嘘”が浮かび上がった。
「国会議員も国民と痛みを分かち合う」。コロナ感染拡大が始まって国民生活が逼迫した2020年4月、自民党と立憲民主党は歳費2割削減で合意。2020年5月から全国会議員の歳費が月額129万4000円から103万5200円に2割減額され、現在も継続中だ。
昨年1年間の議員歳費は本来なら夏冬2回のボーナスを含めて約2181万円。それが2割カットで約1744万円に減ったはずだ。
ところが、音喜多氏の源泉徴収票によると、実際は約1923万円も支給されていた。どういうことか。
参院事務局に理由を聞くと、「歳費の8割支給(2割カット)を定めた改正法では期末手当(ボーナス)は削減の対象になっていません」と、歳費の年間支給額の内訳とともに説明した。
それによると国会議員のボーナスは月額歳費をもとに計算される。
「国民と痛みを分かち合う」ために歳費を2割減らしたといいながら、ボーナスはカットする前の金額を使って計算してこっそり満額(夏冬合計約628万円)を受け取っていたのだ。そのため、歳費の年額では1割カットにしかならない。音喜多氏が語る。
「コロナで国民に我慢を強いている中、国会議員には夏冬ともボーナスが300万円以上支給された。国民は納得いかないでしょう。われわれ維新の会では、国民に寄り添うために、歳費2割削減に加えて、ボーナスの3割も返上しています」
ちなみに、源泉徴収票の金額には非課税である文書通信交通滞在費(文通費)・年間1200万円は含まれていないため、それを加えた年間支給総額は3122万5604円になる計算だ。