ロシアによるウクライナ侵攻により、世界的に緊張が高まっている。日本においては、 もし他国からミサイルが発射されれば全国瞬時警報システム「Jアラート」により国民に通知される仕組みになっている。
Jアラートとは弾道ミサイル攻撃に関する情報のほか、緊急地震速報、津波警報、気象警報などの緊急情報を瞬時に住民に伝達するシステム。防災無線やその地域の携帯電話を一斉に鳴らすエリアメールなどで伝えられる。そのJアラートが鳴ってからの行動が勝負となる。日本大学危機管理学部教授の小谷賢さんが言う。
「発射地点によりますが、Jアラートが鳴って10分以内でミサイルが着弾すると考えてください。わずかな時間でどういう判断をするかによって生死が分かれます」(小谷さん)
2017年8月29日、北朝鮮が日本海方面に弾道ミサイルを発射、北海道上空を横切って襟裳岬の東約1180kmの太平洋上に落下(推定)した。その際、Jアラートが作動したが、対象が北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、新潟県、長野県の12道県にまたがった。つまり、どこに着弾するかを予測するのはいまだ難しい。だが、それでもできることはある。
「大きな鉄筋コンクリートの建物か地下に逃げ込まないと、直撃した場合の生存は厳しい。ふだんの通勤通学ルート上で逃げ込めそうな建物を確認しておいてほしい。Jアラートが鳴ってからスマホで検索していたのでは、とても間に合いません」(小谷さん)
ウクライナではいまもロシア領内や海上の艦船から発射されたミサイルが次々と飛来し、街を破壊している。防衛大学校国際関係学科教授の宮坂直史さんが言う。
「Jアラートを受信したら、まず頑丈な建物の中、できれば地下に入ること。広島の原爆では爆心地近くの銀行は石造りで壁が厚く、破壊を免れました。たまたま地下に書類を取りに行っていた人は助かりました」(宮坂さん)