スポーツ

横綱・照ノ富士に“ヒザの限界説” まだまだ引退できない“一門の事情”

期待に応え続けられるか(時事通信フォト)

期待に応え続けられるか(時事通信フォト)

 上位陣総崩れとなった大相撲5月場所。最終的には12勝3敗の成績で優勝を果たした一人横綱の照ノ富士も序盤から黒星を重ねた。初日から大栄翔に敗れ、6日目に玉鷲、中日に隆の勝と金星を立て続けに配給。

「3月場所は古傷の左ヒザを傷めるなどして6日目から休場したし、照ノ富士の両ヒザはもう完治はしない。上体だけで相撲を取りながら優勝争いをするのは大したものだが、今後も万全の状態で相撲が取れない場所が続きそうだ」(担当記者)

 とはいえ、3人の大関は揃って早々に優勝争いから脱落という体たらくで、「協会としては、照ノ富士は休場を繰り返しながらでも、(不祥事の出場停止で幕下まで落ちた)朝乃山が大関に戻るまで綱を張り続けてほしいというのが本音では」(同前)とみられている。たしかに、初場所の優勝で大関に昇進した御嶽海も、3月場所で優勝して大関候補となった若隆景も全く振るわなかった。

「協会はコロナで2020年春から中止となっていた巡業を7月場所後に再開する予定です。埼玉や千葉など、力士たちが日帰りできる範囲でとなるが、巡業で欠かせないのが横綱の土俵入りなのです」(若手親方)

 巡業は協会のドル箱だ。大赤字が続く協会にとって、再開による収支改善は死活的に重要なのだ。

 また“一門の事情”としても、照ノ富士を簡単に引退させたくない思惑があるようだ。

「師匠の伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)は、伊勢ヶ濱一門の総帥として協会の理事となったが、序列としては7番目。八角理事長(元横綱・北勝海)より3歳上で、もう理事長の目はない。指導力には定評があるが、一門が数の力で劣る“弱小派閥”で出世に限界があった。今後、一門が力を増すには、照ノ富士が横綱として実績を残したうえで伊勢ヶ濱部屋の後継者となるのが必須条件だろう」(同前)

 照ノ富士は昨年8月に帰化し、引退後も協会に残る条件は満たしている。師匠の名字である「杉野森」をもらって、「杉野森正山」を日本名にした。一門関係者の期待は大きく、「3年後に定年となる伊勢ヶ濱親方から年寄株を継承した時に、一門のトップに立つ人材として相応しい実績を残せているかが重要」(ベテラン記者)になるのだという。

 照ノ富士の今後には関係者の様々な思惑が交錯する。ただ、ファンが期待するのはもちろん、土俵上での横綱相撲である。

※週刊ポスト2022年6月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
《父・修被告よりわずかに軽い判決》母・浩子被告が浮かべていた“アルカイックスマイル”…札幌地裁は「執行猶予が妥当」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン