近年、悲惨な交通死亡事故が相次いだことで、高齢者の運転問題が社会問題化している。その流れを受け、5月13日から75歳以上のドライバーの免許更新に新たに「運転技能検査」が加わった。「認知機能検査」を受ける義務もあり、免許更新のハードルが上がっているが、一方で「それでも免許は返納したくない」という人たちもいる。今はジャガーに乗るという歌手・湯原昌幸氏(75)に聞いた。
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免許を取得した18歳からずっとハンドルを握り、運転歴は57年。今もほとんど毎日乗っています。仕事場への移動も自分で運転しますし、ゴルフ、食事、旅行にも車で行きます。助手席にはいつも妻の(荒木)由美子がいて、他の女性を乗せたことはありません(笑)。
若い頃はスポーツタイプの車に乗ってスピードを出すこともありましたが、今考えると無茶な運転もしていました。
事故の経験もあります。グループサウンズ解散後、ソロで弾き語りを銀座や六本木でしていた時に、『雨のバラード』が名古屋、大阪で売れ出したというので関西にキャンペーンに行くことになったのですが、朝6時まで仕事をして車で帰宅途中、対向車がスリップしてこちらの車線に突っ込んできました。念願のキャンペーンも中止となり、これはショックでした。
75歳の後期高齢者となった今は、年齢と共に穏やかな運転になりつつあります。高齢者向けの講習を受けるたびに気持ちを引き締めています。
最近、保険会社がドライブレコーダーを取り付けてくれ、これが乗るたびに運転内容を「前回はAでした」「Bでした」とか言ってくるんです。その判定で次の保険料が変わるというので、できるだけAが出るように丁寧な運転を心掛けています。
運転免許の返納は手足をもがれるような感じがします。僕の場合、95歳になっても、自分が運転できると思ったら運転していたいです。
※週刊ポスト2022年6月3日号