芸能

『やんごとなき一族』の木村多江 『リング』の貞子から始まった“薄幸オーラ”の美しさ

(時事通信フォト)

主人公の姑役を演じる(時事通信フォト)

 視聴率こそ5〜6%台と振るわないが、大富豪一族の浮世離れした日常をコミカルに描いて話題の連続ドラマ『やんごとなき一族』(フジテレビ系、木曜22時〜)。土屋太鳳演じる庶民育ちの主人公が嫁ぎ先の深山家で艱難辛苦する姿を描く本作で、ドラマオタクのエッセイスト・小林久乃氏は姑役の女優・木村多江に注目しているという。小林氏が綴る。

 * * *
「十八番」という言葉がある。演者として業界に身を置くのなら「あ、この演技ならあの人!」と即座に関係者や、視聴者の記憶から掘り起こしてもらえるような特徴や特技。それらは十八番と呼ぶのにふさわしい。

 イメージがすべてを左右する芸能界では、演者は華やかさや明朗であることを求められがち。でもその中で“薄幸さ”を前面に押し出して、十八番にしてしまった女優さんがいる。それが木村多江さんだ。安定した人気で、出演作は絶えることがない。今クールも『やんごとなき一族』(フジテレビ系)で、大富豪一家の女主人を演じているのだが、これがドラマオタクのツボを突く。彼女の演技の何が素晴らしいのか。

眉間に皺を寄せても美しい

 作品と視聴者との“相性”が真っ二つに分かれる傾向の強い、『やんごとなき一族』。大富豪の深山家を舞台に、猛烈な男尊女卑や、子どもたちによる後継の座争奪戦、政略結婚など、韓流ドラマを彷彿とさせる展開がうずまく。韓国原作なのかと思いきや、実は国産で漫画原作のドラマだ。大映ドラマのようなドロドロとした、ハードさも混在。それが面白い! と私のように興奮する人もいれば、嫌悪を示す人もいるだろう。

 主役は古いしきたりを覆そうと奮闘する若夫婦の佐都(土屋太鳳)と、健太(松下洸平)。そこに対するのは当主である圭一(石橋凌)。愛人を抱え、「旦那様は絶対!」という独裁を貫いている。その様子はとても令和に放送しているとは思い難い。そして圭一の妻・久美を演じているのが木村さんだ。

 当主の命令は絶対。このしきたりに逆らうことなく、圭一に服従する久美。愛人の元へ向かうことにも文句を言わないどころか、当主お気に入りのパンを切らしただけで、久美さん大パニック。慌てぶりは天変地異が起きたようだった。パン……だぜ? もちろん、彼女に発言権は皆無。毎度ドラマの終盤で「はばかりながら申し上げます」という切り出しで家族に意見をする新妻の佐都とはまるで違う。いつも眉間に皺を寄せて、困惑した表情を見せているのだが、この様子があまりにも美人だ。

関連記事

トピックス

精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン