現在放送中の朝ドラ『ちむどんどん』は、2012年放送の『純と愛』以来となる沖縄が舞台の物語。この物語で貫かれるテーマは家族愛だ。比嘉家は、4きょうだい。マイペースでお金にルーズな長兄・賢秀(竜星涼・29才)と、責任感が強くてしっかりものの長女・良子(川口春奈・27才)、天真爛漫で食いしん坊の次女・暢子(黒島結菜・25才)、そして体は弱いが歌の才能があり、芯の強さを持つ三女・歌子(上白石萌歌・22才)だ。
主人公の暢子を演じるのは、『マッサン』(2014年)、『スカーレット』(2019年)に続いて、3度目の朝ドラ出演となる黒島結菜だ。過去に『ちゅらさん』(2001年)、『ごちそうさん』(2013年)などの作品にも参加してきた制作統括の小林大児さんが明かす。
「4きょうだいの絆が多くの人の心に刺さっているのは、キャストの演技力の賜でもありますが、実際の関係性も反映されていると思います。カメラが回っていないところでもおしゃべりが絶えず、賢秀を演じる竜星涼さんがいじられキャラのようです」
賢秀はけんかをしたり、借金を抱えたまま行方がわからなくなるなど、たびたび家族に迷惑をかける。しかし、妹を上京させるためにいきなり大金を工面するなど、憎みきれない人物で、物語に欠かせないキャラクターだ。だが、当初は賢秀のキャラクターは企画になかったという。
「実は企画段階では一度、『若草物語』や谷崎潤一郎の『細雪』のような4姉妹が想定されていたんです。兄への設定変更は、『マッサン』を手がけた脚本家・羽原大介さんのアイディアです。羽原さんのお父さんが男1人、女3人という4きょうだいだった。身近でその様子を見てきたので、関係性がイメージしやすかったのだとか」(小林さん・以下同)
4きょうだいと母親による比嘉家の物語はまだまだ続いていくが、悔やまれるのは子供たちの個性を尊重し、あたたかい目で見守ってきた一家の父・賢三(大森南朋・50才)が物語の序盤、第2週で亡くなってしまっていることだ。
賢三の存在感は、命が失われてから時間が経つにつれて大きくなっており、視聴者からは、再登場を強く望む声も多く聞かれている。小林さんが物語の今後について話す。
「東京編では、これまで明かされていなかった賢三の過去がベールを脱ぎます。賢三は家族だけでなく、鶴見の人々やレストランのオーナーなど、みんなの心の中で“生きている”のです。大森さんの新たな出演シーンも、ぜひ楽しみにしていてください」
※女性セブン2022年6月9日号