中国人民解放軍は複雑化する国際環境での戦闘に対応し、より専門的な軍隊を育成するため、兵士の昇進、採用、訓練のあり方を見直し始めている。その改革の目玉としてこのほど「徴兵による下士官育成の改正に関する規定」を作成、軍内に配布し、軍幹部の評価基準は「戦闘能力が唯一かつ基本である」としていることが明らかになった。
この規則は、軍隊の水準を高めるために不可欠な措置とみなしており、敵対する米国や日本などに対抗する狙いとみられる。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
中国軍は2017年に30万人の軍人の削減が行われ、現在総員は約200万人となっている。
習近平・中国国家主席兼中央軍事委員会主席は2018年3月、軍の少数精鋭化を進めるために、軍隊の「背骨」である下士官の重要性を強調し、「下士官の安定は非常に重要だ。下士官のプロ意識を向上させ、離職率を減らさなければならない」と指摘して下士官に関するプロジェクトチームの立ち上げを指示した。
これを受けて、中国国防省は徴兵制度で軍に入った18歳から20歳までの兵士を対象に、兵役が終了する2年後も軍に残すため積極的に下士官に登用する方針に転換した。
軍では昨年から徴兵の受け入れを年1回から年2回に増やし、上半期は2月から、下半期は8月から開始するようになった。
解放軍は今後、これらの下士官の育成を軸にして、軍組織の近代化を進めると同時に、下士官を中心とした「戦闘力を高めるという緊急の必要性」に応えるための人材育成に力を注ぐことになった。
具体的には下士官のモチベーションを高めるため、兵役年数に基づく昇進制度を廃止し、能力や資格に基づく昇進に移行する予定だ。また、賃金や住居など、兵士の軍務と福利厚生の向上も実施される。
さらに、下士官は退役後の生活の心配をしなくても済むように、優先的に国営企業などへの再就職を斡旋されるという。