今、情報番組に出演する機会が増えているのが、ロンドンブーツ1号2号の田村淳(48才)だ。MCのイメージが強い淳だが、情報番組では代役や2番手、3番手のポジションで起用されることが多い。その背景についてコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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今春から松本人志さんが『ワイドナショー』(フジテレビ系)への出演を隔週に減らしました。それを発表した際や、実際に松本さん不在の放送がはじまったとき、「視聴率は大きく下がるのでは?」「ネット上には不満の声が挙がるのでは?」などと不安視する声があがっていましたが、ここまでは杞憂に終わっています。
松本さんが抜けた穴を埋めているのが、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さん。今年の出演は1回のみに留まっていましたが、4月から10日、24日、5月8日、22日と松本さん不在の放送回に出演し、その穴を感じさせない積極的なコメントで番組を盛り上げています。
淳さんは今春スタートの新番組『ポップUP!』(フジテレビ系)でも月曜レギュラーとして出演するほか、木曜パーソナリティの高嶋政宏さんが不在の5月5日と26日に穴埋め出演。さらに今年2月10日、『ラヴィット!』(TBS系)のMC・川島明さんの代役を務めたことなども含め、情報番組のスタッフたちから危機対応の切り札として頼られている様子が伝わってきます。
さらに特筆すべきは、これまで多くの番組でMCを務めてきた田村さんが『ワイドナショー』ではコメンテーターの一人、『ポップUP!』では曜日レギュラーを務めていること。『日曜日の初耳学』(MBS・TBS系)の準レギュラーとして出演していることも含め、いずれもMCではなく、事実上の2・3番手あたりのポジションを担っているのです。
もちろん現在も『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)、『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦』(テレビ東京系)などでMCを務めることもありますが、多くの冠番組を持つトップにのぼり詰めた芸人としては異例のポジションにいることは間違いありません。つまり、「MCも、2・3番手も、代役もOK。メインとして番組進行を担当することも、裏回しに徹することもいとわない」というスタンスで活動しているのです。
情報番組で地道に”やり直し”
MCとして平成のテレビを盛り上げた淳さんが令和の今、なぜこのようなポジションを務め、情報番組のスタッフたちから信頼されているのでしょうか。
まずベースとなっているのは、近年の出演実績。たとえば『ワイドナショー』では1~2か月に一度程度のペースでゲスト出演を続けていたほか、MC・東野幸治さんの不在時に代理を務めたこともありました。また、『ポップUIP!』の前番組『バイキングMORE』では、昨秋から金曜MCに就任。さらに『ラヴィット!』の前番組『グッとラック!』でも、2人のメインMCに続くメインコメンテーターとして出演していました。
メインMCではないポジションで実績を積んできたことや、現在もその経験や縁を大切にしている様子がわかるのではないでしょうか。淳さんは『グッとラック!』の最終回でスタッフへの感謝を語ったあと、「情報番組のMCをやりたいんです」と宣言していました。ローカル、独立局、ネット配信の情報番組にも出演するなど、規模の大小を問わず地道なステップを踏んでいるのも、その目標を達成するためであり、テレビマンたちもそんな姿勢を尊重しているのです。
地道なステップは情報番組への出演だけではありません。淳さんは「ネタをしていない」ことを理由に「自分は芸人ではない」と語ったことがありました。テレビに加えて新聞やラジオ、YouTubeやSNSで積極的な発信を続けるなど、すでに芸人という枠を超えた“社会派タレント”としてのイメージを着々と積み重ねているのでしょう。
多くの冠番組を持つMCにのぼり詰めながら、情報番組では下のポジションからやり直している。決して落ちぶれたわけではなく、むしろ前向きかつ謙虚に臨んでいることがテレビマンたちから評価されているのです。