「うちは何があっても絶対に辞めません!」──瀟洒なイタリアンレストランのホールに、コックコートを着た新人スタッフの力強い声が響く。沖縄から上京し、料理人になるという夢を叶えるため、東京・銀座のレストランで働くことになった主人公・比嘉暢子(黒島結菜)は、勤務初日からさっそく10連勤を言い渡され、覚悟を問われた──。
5月16日の第6週からNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』は沖縄から舞台を変えて、東京編に突入した。偶然出会った、沖縄県人会会長の推薦でなんとかイタリアンレストランに採用された暢子。第7週(5月23日〜)からは東京で料理人として厨房に立ち、夢に向かって突き進んでいく。
物語はまだ始まったばかり。日々、撮影は進んでいるが、撮影現場ではテレビでは見ることのできないアクシデントや爆笑秘話が隠されていた。
黒島は「くんくんしー」が読める!
作中で登場する歌に添えられるのは、沖縄音楽に欠かせない三線の優しい音色だ。キャストの沖縄ことば指導を行い、暢子が下宿する沖縄居酒屋「あまゆ」の主人としても出演する、うちな〜噺家の志ぃさー(藤木勇人)さん(61才)が明かす。
「上白石(萌歌)さんのほか、ドラマで演奏シーンのある片岡鶴太郎さんや大森南朋さんらが猛練習していました。さらに、控室には誰でも弾いていい“フリー三線”が置いてある。上白石さんたちが練習しているのにつられ、演奏するシーンのないキャストも手にとっています」
さらに「マイ三線」を持参する出演者もいるという。ヒロインの黒島だ。
「黒島さんはお祖父さんから継り受けたという三線を現場に持ってきて練習しています。ドラマの撮影が始まってから、練習を始めたのですが、もうかなりの腕前ですよ。『くんくんしー』という三線独自の楽譜も難なく読んでいて驚きました。演奏に合わせて唄をつけるのが難しく、練習中だとか」(志ぃさーさん)