5月24日、プロ野球「日本生命セ・パ交流戦」が今年も開幕した。ペナントレースの行方を大きく左右するが、注目はやはり千葉ロッテの佐々木朗希(20)だろう。「完全試合達成」のインパクトだけでなく、勝利数や奪三振数などパ・リーグの各部門で軒並みトップに立っており、名実ともに球界ナンバーワン投手になりつつある。
中6日のローテを基本とする佐々木は最大3試合に登板する可能性があるが、交流戦の見どころは「ビジター」での登板だ。
「もちろんセ・リーグの打者との対戦も楽しみですが、ビジターの場合はDH制がないので投手も打席に立ちます。佐々木は野球センス抜群で、高校時代には逆方向にサヨナラホームランを打ったことが話題になりました。高校通算12本塁打と長打力もあり、彼がプロ相手にどんなバッティングをするのか楽しみです」(スポーツ紙記者)
昨年の交流戦では甲子園での阪神戦に先発。この時は5回4失点ながら勝ち星をあげたが、打席では相手投手のアルカンタラの前に2三振と「初安打」はお預けとなった。
プロの世界で投手にとってバッティングはどのような意味を持つのか。
「バッティング? 僕は大好きでしたよ。ピッチャーでも打つのが好きな人は多いですよ」
そう語るのは、「カミソリシュート」で鳴らした平松政次氏(74)。プロ通算25本塁打を放ち、二塁打も22本と「打てる投手」の代表格だ。
「僕もそうでしたが、我々の時代は『投げられるし、打てる』という人がピッチャーを任された。だからプロに入るような選手は基本的にエースで4番という人ばかり。もちろんプロでは投げるのが本職だから『自分が打って勝とう』とまでは思わなかったけど、打つ自信はあったしヒットが出るとピッチングのリズムが良くなるんですよ。
佐々木は野球センスもいいし、打つのも好きだと思うよ。ただ、パ・リーグの場合は打席に立たないからいきなり交流戦で打つのは至難の業だと思う。佐々木にはホームランより完全試合を期待したほうがいいかもしれないね」(平松氏)
かの野村克也監督も、「エースになる人は共通してバッティングが良い」という持論を持っていたと言われる。「令和の怪物」は打撃も怪物なのか―打席でも目が離せない。
※週刊ポスト2022年6月10・17日号