米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」はこのほど、中国共産党中央委員会が閣僚級以上の高官やその配偶者、子弟など近親者が海外資産を保有することを禁止するとの内部文書を通達した、と伝えた。この理由について、ロシア軍のウクライナ侵攻に伴って、欧米諸国がロシアの高官に課したような制裁を防ぐため、あるいは、汚職撲滅のためなどとされている。
しかし、ネット上では「習近平の2人の姉夫婦や弟が海外に資産を持ったことを筆頭に、党高官親族の海外資産保有は周知の事実だ。まずは習近平自身が襟を正せ」との声が出ている。
WSJが入手した内部文書では、中国の閣僚級以上の高官の配偶者や子弟、親戚などの近親者は海外不動産や企業の株を所有してはならず、海外の金融機関に口座を開設することは許されていないという。
さらに、県(日本の市や郡)レベル以上の党・政府機関の幹部は自分自身や配偶者、子弟の国外での就業、預金・投資について報告しなければならないと規定。それ以前にも、1995年以降、共産党内には、副大臣(次官)クラス以上の幹部に対して、個人の収入、不動産や株などの所有、配偶者や子供の海外移住、配偶者や子供のビジネス取引などを毎年申告するよう求める文書が存在するという。
しかし、米国を拠点とする中国問題専門ウェブサイト「博訊新聞網」は、読者の声として、習近平主席の近親者や、江沢民元主席や温家宝元首相、朱鎔基元首相の息子が米国の大学に留学後、海外の金融機関に就職したり、他の投資家と共に金融機関を創設したりして、莫大な利益をあげていることはよく知られているとの書き込みを掲載している。
「本当に問題なのは、最高幹部の近親者がこれらの利益を得たとしても、共産党政権では取り締まることも罰することもできないことだ」と博訊新聞網は指摘している。