ジェネリック医薬品(後発医薬品)については、国内メーカーによる不祥事が相次いだことや、ロックダウンで不安定になっている中国からの原薬供給が不足するなど、不安定な状況があるが、業界には大再編の波が押し寄せることになりそうだ。
2020年12月、水虫薬に睡眠導入剤が誤って混入し健康被害が起きていた事実が判明し「業務停止命令」処分を受けた小林化工は昨年12月、業界大手・サワイHDが設立した新子会社に生産設備などを譲渡することを発表。今年4月には生産などに携わる小林化工の従業員もサワイHD傘下に転籍した。
業界大手の一角だった日医工は、2020年2月、製造工程や出荷検査における長年の不正が発覚、2022年3月期決算で1048億円という過去最大の赤字を計上。今年5月に入り、事業再生ADR(裁判外紛争手続き)を申請し、経営再建を目指すことになった。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が言う。
「そもそも日本はジェネリックメーカーが多過ぎて、過当競争のなかでコストを下げようと品質管理が杜撰になる負のスパイラルが起きていた。この先はジェネリックメーカーの淘汰が進むと考えられます」
政府は2013年にロードマップを作成し、将来的に処方薬の8割をジェネリックに置き換えることを閣議決定した。こうした政府による普及推進で生み出された“特需”にあやかるべく新規参入が相次ぎ、業界に歪な状況が生まれていたとする指摘である。
「厚労省によると、日本のジェネリックメーカーは196社(2017年)にのぼります。特許切れの薬は大量生産する体力のあるメーカーが有利ですが、日本の小規模メーカーが無理をして競争を続けると、供給面や安全面の問題が生じやすい。ジェネリックの国際競争が進んでいけば、海外の大資本とさらに激しい競争になる。そういったことからも業界再編が避けられないと考えられるわけです」(室井氏)
ビジネス環境が激変し、メーカーの経営が先行き不透明となれば、ジェネリックを常用する人たちは、「いつも飲んでいる薬が手に入らない」と悩まされる状態が続く懸念があるわけだ。