「屋外では、周りの人と距離が取れる場合や、距離が取れなくても会話をほとんど行わない場合には、マスク着用の必要はない。特に夏場は熱中症予防の観点からマスクを外すことを推奨する」
5月23日、新型コロナウイルス対策本部は基本的対処方針を変更し、屋外でほぼ会話がなければ、マスクは必要ないとの考えを示した。新型コロナの発生から2年以上が経つ。3回目の夏を迎える前に、日本でもようやくマスクを外せる「お墨つき」が出たわけだ。だが、同調圧力が強い日本社会では、周囲の目を気にしてマスクを外さない人も多い。ノーマスクに対する差別も色濃く、マスクなし生活が本当に戻ってくるかはいまだ見通しが立たない。
そんななか、世界中で気になる事態が進行している。現在、アメリカやイギリス、フランスなど欧米を中心に、「サル痘」ウイルスを感染源とする感染症患者が多数報告されている。一方、地球の裏側のブラジルでは、インフルエンザの死者が例年よりも二桁多いレベルで激増している。さらに世界20か国以上で原因不明の子供の急性肝炎が発生しており、国内でも感染者の報告が相次ぐ。
「実はそうした感染症の流行に、マスクの着用が関係しているかもしれません」
そう指摘するのは、国際未病ケア医学研究センター長の一石英一郎さんだ。
「長期間にわたってマスクを着用し続けることで日常生活においてさまざまな雑菌やウイルスに暴露される機会が減り、本来なら外敵から身を守るはずの免疫機能が脆弱になっている可能性があります。世界中でみられる感染症の流行は、そうした免疫力の低下がもたらしていると考えられます」(一石さん)
免疫力低下のリスクが指摘されるマスクの着用を日本人が続ける一方、世界に目を向けるとマスクなしの生活が主流になりつつある。特に欧米では人々がノーマスクで街に繰り出し、飲食やエンターテインメントを楽しむ姿が多くみられる。
大きな差が生じているのは、国民性の違いばかりではない。欧米では、「マスクをしないとヤバイ」どころか、「マスクをつけ続けるとヤバイ」という科学的な調査結果が数多く報告されているのだ。日本ではあまり報じられていない、マスク着用の弊害とは──。
科学的に分析されたマスク誘発疲労症候群
5月17日、アメリカで新型コロナ感染による死者数が100万人を超えた。現在も1日300人前後の死者が報告される半面、すべての州で、公共の場でのマスク着用義務が廃止され、アメリカ国民は新型コロナ以前の生活を満喫している。そのアメリカで指摘されるのがマスクの「逆効果」だ。フランス在住のジャーナリスト・羽生のり子さんが語る。