茅野市尖石縄文考古館 壇蜜が抱きしめた「縄文のビーナス」と「仮面の女神」
顔面把手付土器 茅野市梨ノ木遺跡 縄文時代中期前半 長野県宝 ヒトを表現した土器。把手部分の顔面は八ヶ岳山麓特有のつり目ではなく、垂れ目(写真/茅野市尖石縄文考古館)
壇蜜と美術史家・明治学院大学教授の山下裕二氏(左)が縄文人の圧倒的な芸術性に触れる
「当時の栄養状況から察するに、『縄文のビーナス』の重さは新生児の平均体重だったのでは」(山下)「本物の赤ちゃんを抱いている感覚。きっと持つことを前提に作られた土器だと思います」(壇蜜)※レプリカ(特別な許可を得て鑑賞)高さ27cm、重さ2.14kg
縄文のビーナスの出土状況。茅野市内でも最大規模の遺跡・棚畑遺跡の発掘作業で発見。集落の小さな穴に横たわるように埋められていた(写真/茅野市尖石縄文考古館)
国宝「土偶」(縄文のビーナス) 茅野市棚畑遺跡 縄文時代中期 昭和61年に出土し、平成7年に縄文時代の土偶としては日本で初めて国宝に指定。大きく張り出したお腹とお尻で臨月を迎えた妊婦を表現。「出産は集落の繁栄や豊かさの基であり、女性にしかできないこと。明らかに女性社会です」(山下) 。写真/茅野市尖石縄文考古館
縄文のビーナスの顔はハート型、尻部は逆ハート型。頭頂部は平たく、頭にのみ円形の渦巻き文。文様は帽子を被っている姿とも、髪型ともいわれる(写真/茅野市尖石縄文考古館)
国宝「土偶」(仮面の女神) 茅野市中ッ原遺跡 縄文時代後期。逆三角形の面を着け、神に代わって祭祀を行なう女性を表現したと考えられている。仮面の形状は縄文時代の後期前半に東北・関東地方で見られたハート型の顔面の流れを汲むという説も※レプリカ(特別な許可を得て鑑賞)高さ34cm、重さ2.7kg
仮面の女神の足の裏。頭頂部や首、へそなどの他、足の裏にも小孔がある。小孔の大きさ、網代痕の向きに左右で違いがある(写真/茅野市尖石縄文考古館)
仮面の女神の出土状況の再現模型。平成12年に中ッ原遺跡の墓より出土。右足が割れた形で見つかり、土偶の破片が脚の付け根の割れ目や空洞の胴体内部にはまり込んでいた
背面から見た仮面の女神。仮面は紐で結んで装着したようにも、かぶり物と一体化したようにも見える。正面は女性の身体的特徴を持つが、背面の形状は男性器も想起させる(写真/茅野市尖石縄文考古館)
環状把手付深鉢形土器 茅野市下ノ原遺跡縄文時代中期前半 長野県宝(2点とも)。土器の表面の劣化具合や二次焼成の形跡から煮炊きに使われたことがうかがえる
蛇体把手付深鉢形土器 尖石遺跡 縄文時代中期前半 長野県宝。三角頭やとぐろを巻く様子を連想させる形状や丸い模様からマムシを模したと考えられる(写真/茅野市尖石縄文考古館)
蛇体把手付深鉢形土器 尖石遺跡 縄文時代中期前半 長野県宝。昭和8年に出土した、高さ24cmの蛇体把手付土器。蛇体把手の造形はやや抽象的(写真/茅野市尖石縄文考古館)
「八ヶ岳山麓系の顔としては切れ長でつり上がった目、団子鼻、小さなおちょぼ口が特徴的ですね」(壇蜜)と、土偶の風貌について語りながら、つり目を真似る
胴部中央の装飾が両手でバンザイしているヒトの姿にも見えるため、母の胎内の赤ん坊ではないかとも考えられている(写真/茅野市尖石縄文考古館)
2人がかりで土器柄の縄文パズルに挑戦。火おこし、ドングリ割りや編み物の編み方などの“縄文体験”もできる(体験の受付は一時休止中)
石棒 聖石遺跡ほか、茅野市内各遺跡 縄文時代中期後半。男根を彷彿とさせる儀礼・祭祀用の土器と考えられる。炉から確認される例が多く、手前(壇蜜正面)の石棒も住居の炉で発見
ミュージアムショップでは、レプリカ、ネクタイ、精巧な塩羊羹など、様々な国宝土偶グッズが揃う
茅野市尖石縄文考古館(長野県茅野市豊平4734-132)【開館時間】9時~17時(最終入館は16時半)。写真/茅野市尖石縄文考古館