中国では今年、大学の卒業生が1076万に達し、就職戦線は「超超氷河期」状態となり、「卒業即失業」という言葉が流行語になっている。
とくに今年は新型コロナウイルスの感染拡大などの影響で経済が低迷しており、卒業生の大半は「無職」のまま社会に出ざるを得ない状況だ。北京各紙が報じた。
中国の就職情報専門サイト「智聯招聘」が5月17日に伝えたところでは、4月末現在の大学卒業予定者の内定率は男子学生が22%、女子学生は10%で、今年はこれまで20年間で最も厳しい状況だという。
これは中国の失業率が現在、高止まり状態であることも影響している。中国国家統計局が5月16日に発表したところでは、今年4月の中国の都市部の失業率は6.1%となり、2020年3月以来の高水準となっている。とくに16歳から24歳の失業率は18.2%と過去最高を記録した。
李克強首相は中国国務院(内閣)の会議で何回も「雇用の安定化」を強調、視察先の雲南省でも5月18日、雲南大学の卒業生のための就職説明会を訪れ、学生たちに「希望する仕事に就けるよう幸運を祈っている」と語ったほどで、李首相自ら中国における雇用問題を重視していることが分かる。
こうした状況をうけ、卒業予定者は都市部の公務員や大企業での就職を諦めており、「企業規模が100人以上、月給は6000元(約11万4000円)以上であれば、地方都市であっても、履歴書を提出するのが当たり前になっている」と「智聯招聘」は報じている。
海外企業が多く進出している北京市朝陽区政府はこのほど、2022年に公務員として採用するリストを発表したが、合格者の多くは中国や海外の名門大学の卒業生で、その3分の2は修士・博士号修了予定者であることを明らかにしている。その中には、中国の名門大学である北京大学の原子物理学の博士課程を修了した大学院生もおり、内定したのは警備担当だったという。