日本人の睡眠時間は世界ワースト1。その根拠がOECD(経済協力開発機構)の調査(2018年発表)だ。日本の平均睡眠時間は7時間22分で、33か国中最下位。平均より1時間近く短い。
さらに、ブレインスリープ社の2020年調査では、日本の平均睡眠時間は6時間27分と。OECD調査より55分も短い結果となった。
「しかし、コロナ禍の3年間で平均睡眠時間が約21分増え、睡眠負債も改善傾向にあるとわかってきました。一方、週に1~2回在宅勤務を行った人は生活リズムを保ちにくくストレスも増え、ほかの働き方より睡眠の質が悪化したそうです。睡眠では睡眠時間などの定量データだけに注目しがちですが、より多角的で総合的な観点から睡眠の質を評価することが重要なのです」
そう話すのは、ブレインスリープ・CFO(最高財務責任者)の中島正裕さんだ。
ブレインスリープは、『スタンフォード式最高の睡眠』の著者・西野精治氏らが、日本の睡眠課題に取り組むべく2019年に設立した会社で、全国47都道府県の約1万人を対象に「睡眠偏差値」調査を毎年行い、発表している。
「人口減少の局面に突入し、労働力人口が減りゆく日本では、一人ひとりの生産性の向上が求められています。睡眠の質を上げ、ちゃんと寝てパフォーマンスを上げないと世界と戦えない。だからこそ、個人も企業もこれからは睡眠リテラシーを高める必要があるのです」(中島さん・以下同)
その手がかりとなるのが「睡眠偏差値for Biz」だ。これは、睡眠時間や睡眠習慣など睡眠状態を直接判定する項目に加え、職場での生産性やストレスの程度、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクなども総合的に鑑みて算出しているという。