投手でデビューを飾り、「二刀流」と話題になった中日・根尾昂。だが、本職の野手では厳しい状況に置かれている。ショートのレギュラーだった京田陽太が攻守に精彩を欠いてファーム降格したことに伴い、根尾は外野から遊撃に再コンバートされたが、出場機会が少ない。
5月10日に1軍昇格したが、遊撃としては2試合の途中出場のみ(以下、数字は6月7日試合前時点)。打撃で結果を残せず、ベンチスタートの日々が続いている。遊撃は高橋周平が8年ぶりに守ったほか、守備に安定感がある三ツ俣大樹が先発出場している。6月4日のソフトバンク戦では、同じく遊撃のレギュラーを狙う溝脇隼人が代打で値千金の逆転2点適時三塁打を放ち、ヒーローに。根尾は打率が2割を切る状況で、二刀流の活躍どころか2軍降格の危機を迎えている。スポーツ紙デスクは、根尾の置かれた現状をこう語る。
「遊撃でスタメン出場するのはまだ厳しいと首脳陣は判断しているのでしょう。外野の守備は俊足と強肩を生かして十分に1軍レベルですが、打てないとレギュラーに定着できない。二刀流で話題になっていますが、現実的な起用法として野手で活躍しなければ成り立ちません。根尾も今年で4年目。打撃で試行錯誤を続けてもがき苦しんでいる。
思い切って投手に転向するのも選択肢の一つだと思います。野手がダメだからという消極的な理由でなく、投手としての伸びしろの方が大きいように感じる。3年のブランクがあって直球が150キロをマークする投球ができるわけですから。投手と野手だと表情が別人のように違うんですよね。打席だと自信がなさそうに見えるけど、マウンド上ではキリッとした表情でオーラがある。本格的に投手に専念して練習を積んだ時に、どれだけ伸びるのか楽しみな部分があります」
プロ4年目の今季に投手デビューを飾った根尾は、大量得点差で勝負がついた2試合に登板している。5月21日の広島戦は1回1安打無失点の好投。5月29日の交流戦・オリックス戦では大阪桐蔭時代を含めて自己最速タイの150キロを計測。1回1安打無失点ときっちり抑えた。マウンド上では落ち着き払った表情で、走者を出しても動じない。たたずまい、投球フォーム、球質は「良い球を投げる野手」ではなく、正真正銘の投手と見間違うほどだ。