色鮮やかでド派手なロングコートを着た大黒摩季(52才)がステージに登場すると、会場は一気に沸いた。6月1日、大黒は故郷の北海道・札幌からデビュー30周年の全国ツアーをスタートさせた。
本来、彼女のデビュー日は5月27日で、この日を「ツアー初日に」と推す声もあったという。だが、彼女は首を縦に振らなかった。その背景には、15年前に急逝したあるアーティストの存在がある。ZARDの坂井泉水さん(享年40)だ。大黒が姉と慕う坂井さんが亡くなったのは、2007年の5月27日。あの日以来、大黒はデビュー日を祝えなくなったのだ。
2人は、坂井さんがZARD名義で1991年に発売したデビューシングル『Good-bye My Loneliness』で出会った。そのバックコーラスとして参加していたのが、大黒だった。大黒は1988年、18才で上京し、オーディションに合格したが、すぐデビューとはならず、任される仕事といえばバックコーラスばかり。
「つらい下積み時代を慰めたのが、2才年上の坂井さんだったんです」
そう明かすのはある音楽関係者だ。続けてこう語る。
「大黒さんが初めて坂井さんと会ったとき、彼女の品のよさとキラめきにすっかり魅了されたそうです。大黒さんが落ち込んでいるときには、『摩季ちゃんといると元気出るよ』と言って励ましてくれ、大黒さんは坂井さんを姉のように慕っていました。すぐにお互いを『摩季ちゃん』『泉水ちゃん』と呼び合う仲になったそうです」
1990年代は、まさにZARDの絶頂期だった。当時、大ヒット曲を連発していた坂井さんに、プライベートの時間はほとんどない。そこで隙を見つけては、「ちょっと、スタジオ抜け出そうよ」と大黒を誘い、スタッフの目を盗んで2人で食事や買い物に出かけたという。
「いつも後で怒られるのは大黒さんでしたね。損な役回りでしたが、彼女にとっても楽しい時間だったようで、その思い出話をよくされています」(前出・音楽関係者)
大黒も1992年に念願のメジャーデビュー。以後、“姉”の坂井さんとともにヒットチャートを賑わす存在になった。
「互いに平成を代表する歌姫になっても姉妹のような関係は変わりませんでした。実は人見知りの大黒さんを、グイグイ引っ張っていったのが坂井さん。2人で多忙の合間を縫って食事をしたりと、プライベートの交流は続きました」(別の音楽関係者)