生糸の生産に不可欠な蚕のなかでも、ひときわ細く質の高い生糸を吐き出す種「小石丸」。純国産の蚕で、病弱で飼育が難しいとされる。しかし、若葉が萌える皇居では、今日も小石丸が生命を紡ぎ、伝統をつないでいる。
皇后雅子さまが6月1日、皇居内にある「紅葉山御養蚕所」で、蚕に桑の葉を与える「御給桑」に臨まれた。
「前日の5月31日に行われる予定でしたが、雅子さまのご体調が整わず、翌日に持ち越されました。その日は体調面にも問題がなかったようで、長時間にわたって作業をされました」(皇室記者)
皇室と養蚕の関係は、古くは日本書紀に記述があるとされる。現在のように皇居内で飼育が行われるようになったのは、明治天皇の皇后である昭憲皇太后が伝統的な養蚕の手法を取り入れてから。以来「皇后の務め」として引き継がれてきた。皇后手ずから生み出される最上級の生糸は、文化財の補修などに用いられている。雅子さまが養蚕に本格的に携わられるようになったのは、2018年のことだった。
「それまでは、上皇后美智子さまが担われていました。秋篠宮家の紀子さまや眞子さんが、御養蚕所で一緒に作業されたことがあったのに対し、雅子さまにはそうした機会がなかったため、“雅子さまは蚕が苦手なのでは”と囁かれたこともありました。実際のところは、“養蚕は皇后の仕事であり、皇太子妃が積極的にかかわるものではない”というお考えから、遠慮されていたようです」(前出・皇室記者)
それから4年が経ち、この初夏には慣れた手つきで作業をされた雅子さまのお隣には、天皇陛下と愛子さまのお姿もあった。
「愛子さまは、小学生の頃に学校で配布された卵から蚕を育てられ、いまもお住まいで飼育を続けられています。ただ、御養蚕所でのお手伝いはされたことがなかった。その日は、愛子さまのたってのご希望もあり、ご一家での作業となりました」(前出・皇室記者)