女子プロゴルフ界に“女王”が帰ってきた。昨年、ツアー9勝を挙げて賞金女王に輝いた稲見萌寧(22)。今シーズンは序盤戦で思うように調子が上がらなかったが、先日の「ヨネックスレディース」で203日ぶりとなる優勝を飾った。
ただ「今回はメンバーに恵まれた」という指摘もある。
「今季5勝と絶好調の西郷真央や前週優勝の小祝さくらなど、優勝を争うライバルが『全米女子オープン』に揃って出場していたために不在だった。稲見も出場権を持っていたのに国内の試合を選んだのは、『まずは1勝』という狙いがあったのかもしれません」(ゴルフ担当記者)
昨年の東京五輪の銀メダリストが世界最高峰の舞台への参加を辞退したことで、一部では「逃げている」と批判の声もあった。しかし、プロゴルファーの沼沢聖一氏はこの試合を観て「稲見は完全に復活した」と見る。
「内容に安定感があった。強豪が不在とはいえ、“優勝して当たり前”というプレッシャーのなかで、初日から首位を守り切っての優勝は本物でしょう。スイングにキレやシャープさが戻ってきた。持ち味である100ヤード以内のアイアンショットが冴えていて、パーオン率が1位だったのはさすがです」
稲見は「賞金女王」として迎えたシーズンオフの多忙さに加えて、骨盤が前傾して背骨が腰付近で反り返る「反り腰」に悩まされていた。それが、この試合では解消されていたという。
「反り腰は腰痛からくるもので、立った時に腰が痛いのでお腹を前に突き出してしまう。それを無理に矯正しようとしたのか、稲見は『アドレスの時の重心位置を見失って力が入らなくなった』と表現していました。
そこからトレーナーの指導を受けてストレッチなどで調整したようです。フォームの修正はかなりキツかったでしょうが、やっと定まってきたようです。この前の試合は『上位陣が不在』と言われていますが、ここ最近はトップ5が続いていたので完全復活と言えるんじゃないですか」(沼沢氏)
“反り腰”を克服して“逃げ腰”という批判を黙らせられるか。
※週刊ポスト2022年6月24日号