「6月中旬まではなんとかAクラスで優勝争いをしてもらいたい」──球団幹部がそんなふうに祈りながら開幕を迎える球団が、阪神タイガースだ。
6月は親会社・阪急阪神ホールディングス(HD)の株主総会があるからだ。今季は開幕9連敗という最悪の船出となり、Aクラスなどとても望めないなかで6月15日の株主総会を迎える。
矢野燿大監督は開幕前に今季限りの退任を表明しているが、株主からは“監督人事”を巡る要求が飛び出しそうだ。デイリースポーツ元編集局長の平井隆司氏はこう言う。
「阪急阪神HDの株主総会では、タイガースの調子がよければエールが飛び、最下位だと監督解任を求める声が飛ぶのがお約束です。金本知憲監督の3年目だった2018年の総会では、チームは2位だったが首位・広島が独走してあとはダンゴ状態だったことに加え、交流戦11位という失速や高額年俸の新外国人・ロサリオが不振に喘いでいたために金本批判が続出。あまりにタイガース関連の質問が続いて、“もう阪神の質問はやめろや~”と他の株主からツッコミの野次が飛ぶほどでした」
もはや何の集まりか分からない気もするが、結果的に同年の阪神は最下位に終わり、2020年まで続投予定とされた金本監督は電撃解任された。阪神を愛する“物言う株主”の影響力は小さくない。
「関係者の間では2011年の真弓(明信)監督、2015年の和田(豊)監督、2018年の金本監督の3人は“株主にクビを取られた”と言われているほどです。総会対策として新外国人の獲得が検討されたり、会社サイドは大真面目なようです」(平井氏)
今回は矢野監督の後任を巡る意見が多くなるという見方もある。在阪スポーツ紙デスクが言う。
「根強い人気がある岡田(彰布)氏や報道で取り沙汰される落合(博満)氏の名前が出そうです。株主の発言の注目度は高く、和田監督時代の2015年に総会で“惜しまれながら辞めた岡田さんを来シーズンの監督に”といった質問が出て、同年オフに岡田氏は監督就任依頼の電話を待っていたという逸話もある(結果は金本氏が就任)。株主の強い要求があれば、“大穴”と見られる落合監督誕生の可能性も高まるのでは」
ハゲタカ外資よりトラ党株主のほうが凄い?
※週刊ポスト2022年6月24日号