国際情報

北朝鮮の地方農村部で深刻な医薬品不足 鹿の血の乾燥粉末も高額取引される

依然として薬不足などの深刻な状態が続いているという

依然として薬不足などの深刻な状態が続いているという

 北朝鮮では新型コロナウイルスの感染が、中国からワクチンや薬品などが提供され、一段落ついたと伝えられるが、これらの医薬品のほとんどは首都・平壌で使われており、地方の農村部では依然として薬不足などで深刻な状態が続いている。このため、地方では鹿の血を乾燥した粉末や他の漢方薬などを用いているという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は「6月初旬の朝鮮労働党政治局会議で、新型コロナウイルスの感染状況は全国的に制御・改善されていると発表された」と報じている。

 しかし、地方の人々は満足な治療は受けられていないのが実態だ。北西部の平安北道の住民は「平壌と地方では大きな差があり人々は本当に不満を抱いている。国家非常防疫司令部が集中審議を行い、緊急事態に備え備蓄している医薬品を迅速に配布すると通知したことで期待は大きかったが、その医薬品は平壌の人々や軍に配られ大変失望した」と語っているという。

 鴨緑江を挟んで中国と国境を接する新義州市では風邪薬として使われる漢方薬が置いてある薬局もあるが、郡レベルの薬局は完全に空っぽだ。薬局は政府の命令で、24時間営業を強制させられているが、肝心の薬がないのに、販売員や警備員が昼夜を問わず薬局に居座っているだけになっている。

 北東部の咸鏡北道・崇仁市では、高熱と咳を訴える患者がいても薬がないので、闇市で鹿の血のようなものに頼るしかない状況だ。同市の住民はRFAに対して、「闇市で取引される鹿の血の乾燥血粉は、小さな瓶でも5000ウォンという高値で売られている。また、アスピリンやアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤の偽造品も増えている」と語っている。

関連記事

トピックス

タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
まさか自分が特殊詐欺電話に騙されることになるとは(イメージ)
《劇場型の特殊詐欺で深刻な風評被害》実在の団体名を騙り「逮捕を50万円で救済」する手口 団体は「勝手に詐欺に名前を使われて」解散に追い込まれる
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン