5月30日から始まった東京六大学野球のフレッシュトーナメント(新人戦)で、一際注目を集めた選手がいた。
清原和博氏の長男・清原正吾(2年・慶応大学)である。スポーツ紙アマチュア野球担当記者が語る。
「父と同じ背番号5番をつけて『4番・一塁』で出場。清原氏は連日観戦に訪れ、正吾がヒットを放つとガッツポーズで喜んでいました。肝心の打撃は、12打数3安打3打点とまずまずでしたが、今年の新人戦の主役は清原氏と正吾でした」
新人戦の開催中、スポーツ紙は正吾の出場を大々的に報じ、スポニチのネット版が〈慶大清原Jr.が覚醒の兆し〉と題する記事を配信して、後に〈目覚めの兆し〉に修正する出来事もあった。
各紙で“清原”の文字が躍る一方で、記者たちの間ではこんな葛藤もあったという。別のスポーツ紙アマチュア野球担当記者が語る。
「記者の間で大きな扱いにすべきか否かという話が出たんです。実力的にはまだこれからの選手で、あまり大きく報じすぎるとミスリードになるという意見があった。
正吾は小学生の時は軟式野球をやっていたが、中学ではバレーボール部、高校ではアメフト部でブランクがありますから。これだけ報じられたのに、記事内にスカウトのコメントがないのはプロレベルにはほど遠いからです」
そんな正吾について、ある在京球団スカウトは、「次の1年間がポイントになる」と語る。
「体格も186センチ、90キロと親譲りだし、新人戦で大きなショートフライを打ち上げたが、あの高さは相当な力がないと上がらない。慶応の堀井哲也・監督は、この1年で中高時代のブランクは消えたとしている。3年生の春にリーグ戦に出場できるかどうかですね。今はつられて振っているボール球を見逃せるようになれば、期待できます」
出藍の誉れとなるか。
※週刊ポスト2022年6月24日号