愛娘の死から6か月が経過し、松田聖子(60才)は全国ツアーをスタートさせた。今年3月、聖子はファンクラブの会報誌に《彼女と一緒に歌っていきたい》とコメントしたが、その言葉通り、聖子は沙也加さんとの“共演”を意識していたようだ。その姿を聖子の母も待ちわびていた。一卵性母娘と呼ばれた、3世代の物語。
「20年前、ここで歌ったのがついこの前のよう……今日も一緒に歌ってくれたんじゃないかな……」
ステージ上でスポットライトを浴びた松田聖子が涙を拭いながらそう話すと、さいたまスーパーアリーナを埋め尽くしたファンの目にも涙が浮かんだ。
6月11日、聖子は全国ツアーの初日を迎えた。昨年12月に長女の神田沙也加さん(享年35)が帰らぬ人となってから、初めてのツアー。くしくも会場は、沙也加さんとの思い出が詰まった場所でもあった。沙也加さんは2002年5月にSAYAKA名義で歌手デビュー。彼女にとって初めての舞台が、このさいたまスーパーアリーナでの親子共演だった。
「ちょうど20年前の6月でした。聖子さんのコンサートにゲスト出演した沙也加さんがデビュー曲『ever since』を歌っていると、聖子さんが舞台袖から登場してデュエットを始めたのです。沙也加さんの物おじしないパフォーマンスとは対照的に、聖子さんが涙ぐんでいたのが昨日のことのようです」(観客のひとり)
それから20年。この日、聖子は1万8000人のファンの前で沙也加さんのデビュー曲を歌い上げた。この日のコンサートでは、沙也加さんをしのぶかのような演出もあった。
「お姫様のようなドレスを聖子さんが着て歌うシーンは、ミュージカルのような演出でした。ミュージカルスターだった沙也加さんへのオマージュのようで、会場も大いに盛り上がりました」(前出・観客のひとり)
その華やかさは、ファンの心配を払拭するほどのものだった。聖子はファンの視線を一身に浴び、こう言葉をつないだ。
「娘は天国に旅立ってしまいましたが、私の心の中にはずっと生き続けてまいります」
ファンが涙し、心を震わせた母娘“共演”。この日の様子をじっと見守るもう1人の女性がいた。聖子の母・一子さん(89才)だ。