政界にはスキャンダルにまみれると「逃げるが勝ち」とばかりに姿をくらます議員が多いが、この政治家も自民党を離党して雲隠れすれば議員バッジを守れると考えたのだろうか──。
週刊ポスト2022年6月24日号で〈パパ活「飲酒」現場〉を報じた“岸田派のホープ“吉川赳氏だ。18歳の女子大生に汐留の焼き肉店で酒を飲ませ、お台場の高級ホテルでともに過ごし、「4万円のお小遣いをいただいた」という彼女の証言も含めて当夜の一部始終を詳報すると、永田町には激震が走った。
週刊ポスト発売日前日の6月9日、「NEWSポストセブン」に記事が掲載されると、吉川氏は記者団に「記事を見てから対応します」と語っていた。ところが、翌日の発売日に自民党を離党し、一切説明しないまま雲隠れ。「議員辞職」も「記者会見で説明」する意向もないことが報じられると、通常国会最終日(15日)の衆院本会議にも欠席届を出して現われなかった。
離党でなんとかなる。そう甘く考えた張本人は“派閥の親分”でもある岸田文雄・首相のようだ。
「第一報が出ると官邸は大騒ぎになった。党幹部や参院側は“参院選に影響が出るから早く議員辞職させろ”と言ってきたし、公明党が怒って選挙協力にも影響が出かねない。総理は側近に吉川から事情を聞くように指示し、報告を聞くと、離党でなんとか火消しをはかろうという方針になった」(官邸筋)
吉川氏はいわゆる“魔の12年初当選組”で、選挙区(静岡5区)では4回連続で細野豪志氏に敗北、比例復活で当選した(うち2回は落選)。だが、岸田首相にとっては派閥会長に就任して初めて当選(比例復活)させた議員の1人だ。自民党ベテラン議員が語る。
「岸田さんは子飼いの吉川を初当選の頃から可愛がっていて、最近では、“宏池会の次の次のリーダーだ”と期待していた。吉川のために細野の自民党入りにも強く反対したし、昨年の総選挙では3回も負けていた吉川を公認してまた細野に大差で負けている。そのため岸田派内からも、“総理はどうして選挙で勝てない吉川にあんなに肩入れするのか”とやっかまれていた。今回の件は議員辞職が当然なのに、恩情をかけて離党で済ませようとした」
それに乗じた吉川氏は辞職に応じようとしなかった。
「吉川氏は当初、周囲に『18歳だと知らなかった』『女性に年齢を偽られていた』などと釈明し、『女性に連絡が取れなくなったから18歳だという事実確認ができない』という理由で、現時点では公の場での説明や議員辞職の意向はないとしているようです」(政治部記者)
だが、相手女性・Xさんの年齢についてこれから事実確認をするまでもなく、本誌記者は吉川氏が「18歳」と認識したうえで会話しているのを確認している。前号で掲載しきれなかった当時のやりとりを再現する。
5月27日、汐留の焼き肉店では個室の格子扉から吉川氏の甲高い声が漏れていた。
「お酒は飲める? 甘いのがいい? ディタオレンジをください。私は瓶ビール!」
2人分の酒を注文した吉川氏はXさんと以下のような会話を交わした。
「学生だよね?」(吉川氏)
「大学1年生になったばかりです」(Xさん)
「いやー、もうだいぶオジサンだけど、ありがとうね!」(吉川氏)