本誌・週刊ポストで〈パパ活「飲酒」現場〉を報じられた“岸田派のホープ“吉川赳・衆院議員。18歳の女子大生に汐留の焼き肉店で酒を飲ませ、お台場の高級ホテルでともに過ごし、「4万円のお小遣いをいただいた」という彼女の証言も含めて当夜の一部始終を詳報すると、永田町には激震が走った。
吉川氏は自民離党を表明した後、雲隠れを続けており、議員辞職も会見で説明をする意向もないと報じられている。吉川氏をかばったことで、岸田首相の足元には火がついている。
「吉川は選挙に弱いから、離党して自民党の看板がなくなった以上、もう将来はない。党内はみんなそれをわかっている。それなのに岸田総理がクビを切れなければ、党内の批判は総理に向かう。総理も参院選の議席を減らしてまで吉川と心中するわけにはいかないだろう」(自民党ベテラン議員)
自民党の“悪しき伝統”
吉川氏が逃げ回ったのは、自民党には不祥事議員を表向き「離党」させて批判をかわし、ほとぼりが冷めた頃にこっそり復党させて救済する“悪しき伝統”があるからだ。
最近ではコロナ禍の「銀座クラブ通い」を批判された松本純氏、田野瀬太道氏、大塚高司氏の“銀座3兄弟”のケースがある。3人は昨年2月に役職辞任のうえ自民党を離党。無派閥だった大塚氏は昨年10月の総選挙出馬を断念したものの、残る2人は無所属で出馬し、森山派の田野瀬氏は当選して自民党から追加公認を受けて復党した。
麻生太郎・副総裁の側近として知られる松本氏は落選して議員バッジを失ったが、選挙からわずか2週間後に自民復党が認められ、非議員ながら「自民党副総裁特別補佐」に就任している。
“派閥の加護があれば、一度離党しても面倒を見てくれる”──現職総理という強力な後ろ盾を持つ吉川氏がそう計算したとしても不思議ではない。
政治ジャーナリストの野上忠興氏が指摘する。
「現在の国会議員の多くは政党の力で当選しており、無所属でも勝てるほど有権者の強い支持を受ける政治家は極めて少ない。だから不祥事を起こした自民党の議員は離党しても派閥や実力者に頼って議席を守ってもらおうとするし、野党で離党した議員は党を渡り歩いてでも任期いっぱい議員を務めようとする者が多い。いずれも国会議員として選んでくれた有権者の負託に応えるために議席にしがみついているのではなく、高額な議員歳費と議員特権を手放したくないからでしょう」
そんな議員は必要ないのだ。
※週刊ポスト2022年7月1日号