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“庶民感覚”から乖離する黒田東彦・日銀総裁の人物像 生涯賃金は13億円近くと推計

発言に注目が集まる黒田東彦・日銀総裁(時事通信フォト)

黒田東彦・日銀総裁とはどんな人か(時事通信フォト)

「家計が値上げを受け入れている」。黒田東彦・日銀総裁の講演(6月6日)での発言は物価高騰に苦しむ国民の怒りを呼び起こし、SNS上では「#値上げ受け入れてません」がトレンド入り、黒田氏は国会に呼ばれ、「誤解を招いた表現で申し訳ない」と謝罪して発言撤回に追い込まれた。

「庶民感覚」から乖離した黒田総裁とはどんな人物だろうか。

 黒田氏はかつて三井三池鉱山があった「炭鉱の町」福岡県大牟田市出身。少年時代は海上保安官だった父の転勤で各地をめぐり、東京教育大学附属駒場中学・高校から東大法学部を経て大蔵省(現・財務省)に入省した。

 大蔵官僚時代の黒田氏をよく知る元財務省担当記者は「エリート官僚らしくない人物だった」と話す。特に消費税が創設された時(1989年)が印象に残っているという。

「その年の参院選で自民党は大敗して過半数割れ、『消費税廃止』を掲げた社会党が躍進した。主税局のエリート官僚たちは消費税が廃止されるんじゃないかと右往左往していた。彼も主税局畑で当時は大蔵大臣秘書官だったが、一貫して“先のことはわからないけれど動じる必要はない”という態度だった。同僚や先輩官僚たちも、大秀才なのに度胸があるというのが共通した評価だった」

 省内では「将来の次官候補の1人」と見られていたが、日本の金融機関破綻が相次いだ金融危機のさなか(1999年)、省内ナンバーツーの財務官(次官級ポスト)に就任して通貨政策を担った。

「財務官時代はあまり目立たなかったが、その頃から黒田さんは省内では少数派の金融緩和論者だった。次期日銀総裁候補の1人に名前が挙がっている伊藤隆敏・コロンビア大学教授と金融緩和についての共同論文を出したこともある」(同前)

 財務省を59歳で退官(2003年)した黒田氏は、財務官僚の“天下り指定席”でもある国際機関「アジア開発銀行」(本部・マニラ)の総裁を8年間務めた後、2013年に安倍晋三・元首相に日銀総裁に起用されて一躍脚光を浴びる。

 実は、当時、財務省ではOBを含めて誰も黒田氏が総裁に選ばれるとは思っていなかったという。

「日銀総裁は財務官僚にとって最高の天上がりポスト。事務次官経験者、それも大物次官から10年に1人選ばれてきた。次官経験者ではない黒田さんはせいぜい副総裁候補と見られていたが、日銀総裁にアベノミクスを牽引する大胆な金融緩和ができる人物を探していた安倍総理は、財務省の反対を押し切って黒田さんを抜擢した」(財務省OB)

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