上海市で5月末まで2か月続いた都市封鎖(ロックダウン)では、多くの市民が経済的な損失や人権無視の扱いなどを受けた。上海の企業家らが、中国共産党指導部に対して、秋の第20回党全国代表大会(党大会)までに損害の補償など7つの要求の実現を求める公開書簡を発表し、ネット上で話題を呼んでいる。
さらに公開書簡を受けて、上海の衣類の小売業者らが2か月間の損害を弁償する代わりに、6か月分の店舗の家賃の免除を求めるストを実施するなど、要求がエスカレートしている。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」モーニングなどが報じた。
公開書簡は「寝そべるゼロコロナ!仕事は再開するが、生産せず!第20回党大会を静観」と題し、ロックダウン解除2日前の5月30日にネット上で発表された。タイトル中の「寝そべる」は現実に希望が持てずに寝そべるような無気力な生活を送る若者を総称した『寝そべり族』をもじったもの。習近平国家主席は昨年、寝そべり族を批判する演説を行っている。
書簡の差出人は「上海の一部の企業家・投資家」で具体的な名前は書かれていないが、総数は数十人で、従業員総数は数十万人とされる。文章の作成に当たって、上海の企業家らが共産党指導部への要求の内容などについて、フランス在住の中国人の民主化活動家の王龍蒙氏に依頼したという。
その要求内容は、上海市のロックダウン中の2カ月間のゼロコロナ政策によって、甚大な経済的損害が発生したとして、被害金額の弁償や横暴な振る舞いをした市政府の役人の処罰、投獄されている企業家らの釈放、都市と農村を差別した戸籍制度の廃止などだ。
すでに6月13日から上海の衣料品市場のテナント数百人が、今後半年間の家賃免除に応じない限り、店舗の営業を再開しないなどとして、デモや集会を行っている。
サウス紙は「これは中国本土の商業の中心地である上海市のロックダウンが何百万もの中小企業に深刻な打撃を与えたことを改めて示すものだ」と報じている。